過ぎ去りしdays
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koburii

Author:koburii
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国内外問わず、夫の仕事の関係で引越しばかりしている40代の主婦。



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35冊目:The Uncommon Reader


Book No.35

Title: The Uncommon Reader
Author: Alan Bennett
Publisher: Farrar, Straus and Giroux(2007)
Hardcover: 128 pages

今月の7冊目の本です。先週に引き続き、今週も家庭の事情で全然読書に身が入らず。とりあえずって感じで読み終えた本。

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Pass the time?” said the Queen. “Books are not about passing the time. They’re about other lives. Other worlds. Far from wanting time to pass, Sir Kevin, one wishes one had more of it.”(pg29)--The Uncommon Reader

The Queen of Englandの、Queen Elizabeth IIは、ある日バッキンガム宮殿に毎週やってくるmobile library(移動図書館)を見つける。そこで宮殿の厨房で働くNorman と知り合いになり、彼からアドバイスを受けながら本を1冊、また1冊と借り始める。

Queenはすっかり読書の魅力に取り付かれてしまう。80歳近いQueenは、今まで読書をしなかったことを嘆き、なんと時間を無駄にしたのだろうと後悔し始める。Normanを厨房から自分の読書アドバイザーとして昇進させ、読むべき本をリストアップさせる。しかし読書に熱中するあまり、だんだん皇務がおろそかになり、側近たちが心配し始める。

Queenの秘書であるSir Kevinは、Normanを遠くの大学へ送り去らせ、Queenから引き離し、また皇務より読書に時間を割くQueenを、自分勝手だと咎める。"To read is to withdraw. To make oneself unavailable."だと。Queenは常にAvailableでなくてはならないのだ、国民のために。

読書の大切さを実感した上で、Queenは自分の立場からそれだけでは不十分であることを知る。Queenとは行動する人なのだ。それは当然のように、「読む行為」から「書く行為」への移転である。

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短いけれど、とてもユーモアがあって満足感がもてる本。"All readers were equal,"本の前ではQueenも何も無い。しかし特殊な環境にあり、特殊な人生を送るQueenは、本を読む側と言うよりは、本の主人公側の人間なので、この辺がとても面白い。本を楽しみとして読む全ての人に。

My Rating: 3.5 out of 5

34冊目:Revolutionary Road


Book No.34

Title: Revolutionary Road
Author: Richard Yates
Publisher: Knopf Publishing Group
Pages: 368p

今月の6冊目。サンデー・ブッククラブの課題図書。
The New Yorkerもブッククラブ始めましたね。こちらの3月の本も"Revolutionary Road"です。

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That's how we both got committed to this enormous delusion-This idea that people have to resign from real life and 'settle down' when they have families. It's the great sentimental lie of the suburbs.--from Revolutionary Road

1950年代。コネティカット郊外の子育てには最高の住宅街に住む若い夫婦のストーリー。

女優志願の妻Aprilと、ホワイトカラージョブに飽き飽きしている夫Frankは、自分たちは近所の家族とは「違う人種」だと自負がある。賢く、インテリジェントで、芸術を理解し、才能がある彼らは、数少ない「一味違う」友人たちと集まり、消費社会アメリカの現状を嘆き、家族のために何かを諦めている近所の人々を軽蔑している。

しかし、Frankはつまらない仕事で毎日やり過ごしながら会社の女の子と浮気をするし、Aprilは二人の子供の世話と専業主婦にうんざりしている。自分たちも日に日にそこらの人間と大して変わらない人間になっていることに気付く。夫婦を救うため、「家族」という牢獄から逃げ出すため、Aprilは物質社会のアメリカを捨て、パリに行く計画を提案する。

パリでの生活や暮らしのアイデアや知恵は、Aprilが読んだ雑誌からの情報だし、具体案もなく、現実味がない。気持ちだけが先走る。家を売ろうとしたり、子供に引越しのための準備をさせるが、もちろん何もスムーズに運ばない。一方で、Frankは会社から大きなプロジェクトを任されることになる。
そしてある日、Aprilは3人目の子供を妊娠していることを知る。

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「結婚」や「家族」という社会的な分類に納まることによって、壊れる何かがある。家庭に、社会に納まるために、捨てなければならない個性や自由がある。AprilとFrankは、不器用にも抵抗し続けるが、若さからの甘い見通しと、子供という拘束を振り切れず悲劇のエンディングとなる。

他人の夫婦喧嘩を聞いてしまう居心地の悪さと、自分たちの夫婦喧嘩を聞かれてしまっているようなバツの悪さを覚えた。Aprilの吐く暴言には覚えがあるし、FrankがAprilに吐く最後の台詞も疑似体験だ。自分がわからなくなれば、誰かを愛しているかどうかさえわからなくなるというAprilの認識は正しい。

私が小説を読むのが好きな理由は、別世界へトリップ出来るところなんだけど、この小説では思いっきり現実に引き戻され、いちいち考えることが多かったように思う。でも長く結婚生活を続けてきた人全てに訴える力がある。。結婚生活で悩み、生きている間は商業的に小説家として成功できなかった作家のマスターピースである。それにしても最近、Yatesに限らずJohn UpdikeやPhilip Rothなどの作品も復活してますね。小説は素晴らしかったです。映画の方は観てないけどどうでしょうか?

My Rating 4 out of 5


33冊目: Madame Bovary


Book No.33

Title:Madame Bovary
Author: Gustave Flaubert
Publisher: Penguin Classics
Paperback: 384 pages
[Classic]

今月、5冊目の本です。
TIMEが選んだ、The 10 Greatest Book of All Timeで、トルストイのアンナ・カレーニナと戦争と平和にはさまれ堂々第2位に選ばれた本ではあるが、一般的にトルストイほど評価は得ていないような気がする。

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She wanted a son; he would be strong and dark, she would call him George; and this idea of having a male child was like an anticipated revenge for the powerlessness of her past. A man, at least, a free.(pg.82)--Madame Bovary

Charles Bovaryは、母親に言われるがままに、高齢で魅力のない未亡人と結婚し不幸な結婚生活を送っていた。そんなある日、若く魅力的なEmmaに出会い引かれ始める。やがて未亡人が死ぬと、Emmaに求婚する。

Charlesはドクターで、安定したそれなりの暮らしを約束はしてくれるが、Emma Bovaryにとっては死ぬほど退屈な相手だった。教養のあるEmmaは、将来にたくさんの期待をしていたし、ロマンス小説が大好きで、恋愛や結婚にも憧れがあった。しかしCharlesは気の利いた会話も出来ず、生活に楽しみを求めない男だった。

CharlesにとってEmmaは、今までの人生にはなかった華やかさと喜びであった。しかしEmmaにとっては逆だった。小さな田舎の町医者でおさまり、勤勉な仕事人間のCharlesは、何の魅力もなく、暮らせば暮らすほどうんざりする相手だった。退屈さと絶望から、Emmaの心は塞ぎこみ病気になる。

But this, this life of hers was cold as an attic that looks north; and boredom, quiet as the spider, was spinning its web in the shadowy places of her heart.(pg.42)

Emmaの不満は子供(娘)が生まれても変わらず、せめて自由な男の子が生まれていればと嘆く。自分と同じ女である娘には興味が持てず育児放棄する。華やかでロマンチックな暮らしを夢見るEmmaは、法律の勉強をしている青年Leonと恋に落ち、活気を取り戻すが、Leonは人妻であるEmmaを諦め、パリに行ってしまう。

退屈な人生と失恋で、失意に沈むEmmaは、リッチでハンサムなプレイボーイのRodolpheの誘惑に簡単にはまり、不倫を始める。Rodolpheは美しいEmmaとの関係を楽しむが、しだいに恋に真剣すぎるEmmaに飽きてくる。EmmaはRodolpheの気を引くため、高価な贈り物を買い求め、そのため借金もする。Rodolpheが去ったあとは、Leonに再会し、今度は二人も関係を持つ。不倫を重ね、借金を重ね続けるEmmaを待っているものは悲劇だった。しかもEmma一人ではなく、夫も、子供も巻き込む悲劇だった。
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1857年出版の本だけれど、不倫、買い物依存症、育児放棄、鬱と、女性の問題としては普遍的なテーマ満載の本で、Emmaと同じ地獄で苦しむ女性は現代の方がむしろたくさんいると思う。

この本の感想は、本当一人一人違うと思う。Emmaはひどい女かもしれないが、私は同性として憎めないタイプだと思うし、Charlesは一見何の非もなく、お人よしな愛妻家として描かれているが、個人的にはやはり、妻に「息が詰まるほど退屈」な暮らしをさせる男は、どんなに献身的に妻に尽くしても、やはりダメだと思う。相手が結婚生活の中で窒息死しかけていることに気が付かないのなら、その愛は独りよがりでしかないのだから。まあそれ故に、最後Charlesの不幸も自分が撒いた種だ。

Emmaはいい年なのに夢見少女だし、後先考えず不倫に走るおバカさんにも見えるが、でも彼女の心の根源にあるのは、『人生とは喜びに満ち、愛すべきもの、感謝すべきものであって、ミジメに文句を言いながらやり過ごすものではない』という、信仰に近い人生賛歌だと思う。音楽や、芸術や、美食や、クリスマスや、綺麗な服や、素敵な船旅を人が求めるのと同じなのだ。Emmaはただただ、人生を愛し、人生に「YES」と言いたいだけなのだ。

それにしても一番かわいそうなのはまだ幼い娘だ。でもいつでも一番の犠牲者は一番弱い者なのだ。"literary realism"の勃興とともに生まれた小説だけあり、甘くない現実的なラストに唸った。


32冊目:The Curious Incident of the....


Book No.32

Tite: The Curious Incident of the Dog in the Night-Time
Author: Mark Haddon
Publisher: Vintage (2004)
Paperback: 240 pages

今月4冊目の本です。オリジナルはイギリスで2003年発売。
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Prime numbers are what is left when you have taken all the patterns away. I think prime numbers are like life. They are very logical but you could never work out the rules, even if you spent all your time thinking about them.(pg.14)

15歳の少年Christopherは、数学に強いが人とのコミュニケーション障害を抱えている(映画レインマンに出てくるダスティホフマンみたいな感じ。自閉症)。母親は数年前に心臓発作で他界、父親と二人で暮らしている。

ある日、近所の犬Wellingtonが、フォークで刺されて殺されているのを発見する。犯人と間違われて警察に連れていかれたChristopherは、大好きなシャーロックホームズのように、自分が真犯人を見つけ出し、本を書こうと思い立つ。

しかし近所を嗅ぎまわっている間に、思いもよらない新事実が次から次へと出てくる。数字や時間には強いが、空間や地理的感覚に弱いChristopherは、近所から出たことも、駅の場所すら分からないが、一人ロンドンに向かうこととなる・・・

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推理小説と一般小説の中間のような話で、非常に楽しく読めた。また自閉症の人は、”普通の人と感じ方が違うが、人とのコミュニケーションが難しく、特に言葉による意思疎通が困難”とされている。Christopherは本を書くことで、彼の感じ方を伝えている。

とても人気のある本なので、リーディングガイドやディズカッションボードも探すとたくさん出てきます。また難しい表現が出てこない大変読みやすい本です。

作者のインタビュー記事で興味深い箇所を載せておきます。"Also and this has become something very important to me it's not just a book about disability. Obviously, on some level it is, but on another level, and this is a level that I think only perhaps adults will get, it's a book about books, about what you can do with words and what it means to communicate with someone in a book."

My Rating : 4 out of 5

31冊目:Crank


Book No.31

Title:Crank
Author:Ellen Hopkins
Publisher: Simon & Schuster(2004)
Paperback: 544 pages

今月、3冊目の本。ブッククラブのメンバーに薦められた本。

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Life was good
before I met the monster.
After,
life was great,
At least
for a little while.--Crank


Kristinaは16歳の高校生。何一つ問題を起こさない、おとなしく完璧な女の子。母と継父、そして姉と弟の5人で暮らしている。ある夏休み、8年前の離婚以来一度も会っていない父親に会いにニューメキシコに行く。

常日頃から本当の自分を隠して暮らしているKristinaは、その見知らぬ地で、Breeと名前を変え、別人となる。モンスターの入り口だ。Adamという男の子と知り合い恋に落ちるが、そこでCrank、麻薬を覚える。
少しの解放感から、あまりにも自然に、しかし強力な流れで、ボーイ、セックス、麻薬、レイプ、妊娠と続く。高校生の娘を持つ親ならみな一度は見る悪夢の中で、Kristinaは孤独に溺れる。

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文章スタイルが非常に独特で、e.e.カミングスの詩集を読んでいるような気がした。この文体と配置のおかげで、言葉の一つ一つが最大限に生かされていて、とても力強い小説に仕上がっている。

この小説は、作者の娘の話がベースになっている。母親である作者は、娘の苦しみを理解するため全てを追体験し、娘以上に苦しんだはずだ。子供たちがこれ以上被害に合わないようにと、徹底的に麻薬と向き合い、その奥に潜む孤独を捕らえたからこそ生まれた小説だ。

Crank is more than a drug. It's a way of life. You can turn your back. But you can never realy walk away.(pg537)

My Rating : 4 out of 5

30冊目: Living Dead Girl


Book No.30

Title: Living Dead Girl
Author: Elizabeth Scott
Hardcover: 176 pages
Publisher: Simon Pulse (2008)

今月の2冊目。ブッククラブの課題本です。薄いティーン向けの本なので2時間くらいで読み終わったが、テーマは少女監禁、虐待、性的暴行とめちゃくちゃ重い。でも現実を知るのは大切。著者Elizabeth Scottの本はこれで2冊目(1冊目の"Bloom"のレビューはこちら

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The thing is, you can get used to anything.You think you can't, you want to die, but you don't. You won't.You just are.(pg.36)
I am a living dead girl because I am too weak to die.(pg.71)--Living dead Girl


Aliceは10歳の少女。ある日、学校の野外学習で出かけた水族館で、Rayという中年男性の策略によって連れ去られる。

Aliceの家を聞き出したRayは、逃げたら家族を皆殺しにすると脅し、Aliceを拘束する。性的虐待、肉体的暴行はほぼ毎日行われ、「少女」のままでいるようにと、食事はヨーグルトが主で、慢性的飢餓状態にさせられている。

5年の月日が流れAliceは15歳になっている。学校には行っていないが、一人で外出もするし買い物にも出る。Rayからの暴行は相変わらず毎日受けているが、それでも誰にも助けを求めず逃げようともしない。出来ないのだ。徹底的な暴行と虐待から、人格を失うほどの恐怖を植えつけられ、自分が逃げれば家族が殺されると心から信じている。

AliceというのはRayが与えた名で、Aliceは元の名前を捨て、本当の自分は10歳のあの日、あの駐車場で殺されたのだと、死んだように毎日を繰り返す。そして成長したAliceは、新しい少女を探し出すようRayに言いつけられる。

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なんだか非常に重たい石を飲み込んでしまったような感覚を読後に覚える本です。ラストのfreeがこれまた重い。幼い子供は恐怖によって簡単にマインドコントロールを受ける。「隙を見て逃げ出す」なんてことは不可能なのだ。
拉致監禁に限らず、身内からの暴行に、「なぜ誰かに話して助けを求めなかったのか」と聞くのは完全に間違っている。間違っているどころか、被害者に責任を与えて攻めているに等しい。そういうことをしみじみ感じる本です。

中学英語レベルなので簡単で読みやすく、2~3時間で読める量なので、洋書で英語を学び始めたばかりの人や中高生にもお勧め出来る1冊です。

My Rating: 4 out of 5

29冊目:The Great Gatsby


Book No.29

Title: The Great Gatsby
Author: F. Scott Fitzgerald
Publication Date: 1925
[Classic]

今月1冊目。これからクラシック本も取り入れていく予定だけど、古典名作って意外と日本語で読んでしまっているから選ぶのが難しい。

未読で、100 Best Novelsの上位に常にランキングされている本を少しずつ読んで行きたい☆

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Gatsby believed in the green light, the orgastic future that year by year recedes before us. It eluded us then, but that's no matter—tomorrow we will run faster, stretch out our arms farther. . . . And then one fine morning—So we beat on, boats against the current, borne back ceaselessly into the past.

小説のナレーターであるNick Carrawayはビジネスを学ぶため1922年の夏、ニューヨークにやってくる。郊外のロングアイランドにコテージを借りると、隣人が、夜毎パーティーを開くとてもリッチで、あちこちで噂される謎の人物であることを知る。隣人の名はJay Gatsby。夜毎開かれるパーティーとは裏腹に、寂しさを漂わせたこの人物にNickは興味を覚える。

一方でNickは、シカゴからNYに越してきたいとこのDaisyと、その夫である金持ちでスポーツマンでもあるTomとの友好を復活させるが、Tomが浮気をしていることを聞かされる。

そしてある日、NickはGatsbyの夜毎のパーティーの目的と、DaisyとGatsbyの二人の過去を知る。そして過去を取り戻そうとするGatsbyに悲劇が訪れる。

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1920年代、大恐慌前の金融バブルで沸くアメリカ。たかだか数年で大豪邸で盛大なパーティーを夜毎開くGatsbyは、まさに時代が生んだ成功者であろう。すべての人が金を追い求め、そしてすべてが金で買える時代である。

"Can't repeat the past? Why of course you can!...I'm going to fix everything just the way it was before."(pg.100)>

「時」と「金」。儚く実態のないこの二つのものが本の中心にある。そして人はこの時と金に魅了されてやまない。だからこそ物悲しく、刹那的で、美しいのだろう(バブル期というのは、人間の生き様が凝縮されているから興味深いのだ)。そしてGatsbyにとってDaisyは、おそらく唯一堅固なもので、だからこそあきらめるわけにはいかない。
まるで影絵を見ているような、そんな物悲しく美しいトーンが本全体に流れている。

No.28: Green Angel


Book No.28

Title: Green Angel
Author:Alice Hoffman
Hardcover: 128 pages
Publisher: Scholastic Press(2003)

今月6冊目の本です。HoffmanのYA向けLittle Book。

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Struggling to survive physically and emotionally in a place where nothing seems to grow and ashes are everywhere, Green retreats into the ruined realm of her garden. But in destroying her feelings, she also begins to destroy herself, erasing the girl she'd once been as she inks ravens into her skin.--From the publisher

主人公Greenは、ガーデニングが好きで人付き合いが苦手な15歳の少女。対照的な、元気でダンスが得意な妹Auroraと両親の4人で、野菜を育てながら町外れで質素に暮らしている。

ある日Greenを残して町に商売と買出しに出かけた家族全員が、事故に会い死んでしまう。一人取り残されたGreenは、孤独感や感情を押し殺し一人で生きていく。幸せだった過去に苦しめられないように本来の自分を殺していく。タトゥーを入れ、髪を切り、名前をAshに変える。

同じように親を失った旧友Heather、言葉を話さない少年Diamond、迷い犬Ghost、そして近所に住む年老いた女性との静かな関係の中で、Greenは徐々に本来の自分を取り戻していく。

小説というよりは、詩に近いような本だった。映像化するとしたら、一言も台詞を用いない方がいいだろう。象徴的に使われる言葉も多く、イメージが活き活きと沸く美しい話。

人格を崩壊するほどの悲しみから、少女が立ち直る話だ。こちらのYA物は、テーマが重いものが本当に多い。子供の頃から宗教を通して死と真剣に向かい合っているわけだから、ある意味当然なのかもしれないが。

My Rating: 3 out of 5

BOOK No.27 The Tipping Point


Book No. 27

Title: The Tipping Point: How Little Things Can Make a Big Difference
Author: Malcolm Gladwell
Publisher: Little Brown(2000)
Paperback: 304 pages

今月の5冊目です。今月は後半読書のペースが落ちています。

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The three rules of the Tipping Point -- The Law of the Few, the Stickiness Factor, the Power of Context -- offer a way of making sense of epidemics. They provide us with direction for how to go about reaching a Tipping Point.(pg.29)

先々月読んで面白かったOutliersの作者Malcolm Gladwell のちょっと前の作品。アマゾンで見るとこちらの方が評判もいいし、今だ売れ続けている

この本で使われているTipping Pointとは、いわゆる臨界点のような現象を指した言葉で、マイナーからメジャーに変わるモーメント、「密かなブーム」が「社会現象」に移り変わる、そのミステリアスで興味深い瞬間を説明をしている。

例えば、80年代まで地下鉄の落書きや犯罪率の高さで有名だったニューヨークが、90年代には世界一安全な都市にまで変貌したその理由。

ほぼ無名の作家が出版した1冊の本が(出版記念イベントでは7名しか集まらなかった)、いかにしてアメリカ全土で読まれるようになり、引いてはサンドラ・ブロック主演で映画化までされるようになったのか。

青少年による自殺が相次ぐ現象、タバコのブームなど、社会問題となるトレンドの動きかた、移り変わり等・・・ある瞬間からの劇的な変化。

前回に引き続きとても楽しく読んだのだけど、やはり同じところで気になる。作者Malcolm Gladwellは、人物を描写する時にとても熱が入る人らしく、少しドラマチックになり過ぎる傾向がある。人間味を持たせるのはいいんだけど、「オーバーだなあ」と引いてしまうことが多々。

例えば90年代のNYC地下鉄での犯罪率の低下の説明。落書きやキセルなどの軽犯罪の見過ごしがいかに犯罪の種となっているかを見抜いた地下鉄ポリスが、小さな犯罪を根気よくつぶし続けた話、引いてはNYC全体の治安改善にまでつながるこの過程の話はとても面白い。面白いけれども、犯罪の低下はやはり90年代のクリントン政権がもたらした~金融バブル~史上空前の好景気~非雇用者数の激減~タバコやアルコール会社叩きとハイテク若手産業の応援等~による所が大きい。景気と犯罪というのは明らかに関連性があるし、政府支援の新しい時代の幕開けは明らかに古臭い「不良」を一掃した。ミクロの働きはそれをサポートするマクロな背景抜きには語れない。

もちろんミクロの話の方が面白いしリアルだ。マクロを話るより、一人のヒーローを取り上げて劇的な変化を語る方が断然面白い。だから彼の本はいつもとても面白い。ただどうしても時々「オーバーだよ・・」の台詞が出てきてしまう。読みものとしての評価は★5つ。社会現象の説明としては★3つ。

My Rating: 3.5 out of 5


No.26 The Reader


Book No.26

Title: The Reader
Author: Bernhard Schlink
Publisher: Vintage (1999)
Paperback: 224 pages

今月の4冊目。オンライン・ブッククラブの課題本。先月観た映画"The Reader"の原作。実は図書館で予約を入れたのが2ヶ月前。50人待ちでやと読めた本。

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I wanted simultaneously to understand Hanna's crime and to condemn it. But it was too terrible for that. When I tried to understand it, I had the feeling I was failing to condemn it as it must be condemned. When I condemned it as it must be condemned, there was no room for understanding(pg.157)--The Reader

ストーリーの概要などは、前回映画を観たときに書いたので省略。今回は映画と本を比べた感想を書きます。

原作「The Reader」は、そもそもドイツの本なので、原作は、WW?~アウシュビッツに対するドイツ人側のユダヤ人に対する複雑な思い、特に戦後世代の葛藤や罪悪感などがより濃く表現されている。

そして少年と中年女性の関係だが、本の中の主人公、15歳の少年は映画よりもずっと幼さが感じられたし、、一方Hannaは36歳の、中年っぽさをかなり感じさせる女性である。映画では二人の関係はセクシーな感じがするが、本ではもっと粗野でもっと必然的な感じがする。

Hannaが感じ、少年が理解するShameの意味が、本を読むとより明確に理解できると思う。映画が気に入った人は、ぜひ読んでみてください。

My Rating 4 out of 5