163冊目:A Stolen Life

Book No.163
Title: A Stolen Life
Author: Jaycee Dugard
Publication date: July, 2012
Pages: 273

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"I don't think of myself as a victim. I survived."

2009年8月、アメリカ中に衝撃のニュースが走った。行方不明となっていた少女が発見されたのだ。しかし少女が誘拐されたのは18年も昔。当時11歳だったJaycee Dugardは、発見された時は30歳近くに成長していた。

その誘拐された少女であるJaycee Dugardが、自ら手記を書いたのがこちらの本です。

1991年夏。当時11歳だったJaycee Dugardは、学校に向う途中でPhillip Garridoとその妻Nancyによって車で連れ去られます。Phillipは小児性愛者で、以前にも14歳の少女を誘拐・暴行で捕まっています。

Phillipは、Jayceeを連れ去り、自宅裏の"studio"(仮設小屋のような場所)に監禁する。ここでJayceeは何年も、Phillipと、食事を持って日に何度か現れる妻Nancyだけに接触し生活します。手錠、バケツのトイレ、食事もファーストフードやお菓子。そしてJaycee は13歳で最初のPhillipの子供を妊娠。14歳で出産。そして16歳で第二子を産む。幸い子供達は健康で、ここで大きくなっていきます。窓も覆われ陽も当たらず、狭い部屋で何年も、病院にも歯医者にももちろん行けない状態です。本当よく死なずに生き抜いたと思います。

最初は完全監禁状態だったJayceeも、子供が大きくなるにつれ、みんなで外出もしているし、Nancyと買い物もしている。29歳で発見されるまで、逃げる機会は何度もあったようです。2000年以降はPhillipの仕事を手伝い、顧客と電話で話をしているし、インターネットも使っている。けれど11歳で監禁され、完全にPhillipにマインドコントロールされた少女は、具体的には何も出来ないのです。

幸せなどというものは、これっぽっちも考えない。ただただ生きること、生き続けることがだけが唯一で最大の問題になる時があります。例えば戦争とか。Jayceeが置かれた状態は、まさにそれだったと思う。彼女はただただ現実を生きた。そして自分を不幸にする考えに浸ることを自分に禁じた。大好きなお母さんのことを考えるのも誕生日の1日だけ、あとは一切考えない、思い出さないと自分で決めて。

シャイで、従順で、他人の機嫌を損なわないように気を使うことが出来る少女だったことが幸い(?)し、(誘拐される前は、常に不機嫌で暴君なステップファーザーに気を使って暮らしていたゆえなのですが)、JayceeはPhillipにもNancyにも気に入られ、家族として受け入れられます。しかしその性格が同時に、逃げる機会も失わせていたようにも思います。実際Jayceeのこととは関係なく、Phillipが逮捕されるのですが、その時もNancyと二人でオロオロ心配なんてしてますし。

この本を書いた目的は、一つはPhillipがしたことを、闇に葬らないためだとJayceeは言います。そして自分は犠牲者ではなく、サバイバーであると。本でもあえて言及されてますけど、すべて本人が書いたそうです。11歳で誘拐にあっているので、難しい単語は一切使われていないので読む時間がさほどかかりません。

ところで犯人のPhillipですが、懲役431年という判決で監獄に入りました。つまり死ぬまで監獄。一生出られません。
wikipedia
そしてアメリカでは、幼児性愛者は囚人仲間から「特別に」いじめられると言われてますよね。刑務所の状態もひどいので、大半が長生きできません。まあこれくらいで当然ですけどね。

そして日本でも似たような時期に、似たような事件がありましたが(新潟少女監禁事件:1990年〜2000年。10歳の少女が誘拐され、9年間監禁されていた)こちらの男性は、懲役14年ですと!日本の刑務所はそれほど荒れていないし、そこで14年ですよ?はああ?ですよ。もうすぐ出所って、全然納得いかないです。


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162冊目:84, Charing Cross Road

Book No.162
Title: 84, Charing Cross Road
Author: Helene Hanff
Pages: 112pp
First published: 1970

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ニューヨークに住むライターと、ロンドンの古本屋の、20年にわたる手紙のやりとりをまとめた書簡集です。

基本は本の依頼や本の売り買いに関する連絡なのですが、これが不思議な魅力と暖かさにあふれています。完全に双方の手紙だけで構成されていて、余分なストーリーが付け加えられていないのも良いです。

ニューヨークの駆け出しライターが、当時なかなか手に入らないイギリスの本をリーズナブルに手に入れたくて、雑誌で見かけたロンドンのチャーリング・クロスにある古本屋(Marks &Co)に手紙を書いたのが、ことのはじまりです。

Marks &Coで働くFrankと、ニューヨークのライターHeleneは、最初はビジネスライクに本の依頼や在庫や売り買いについて話し合いますが、何度もやり取りを交わしていくうちにだんだん打ち解け(といっても節度のあるFrankのくだけ具合はさすが)、文学はもちろん、仕事の話や家族の話、ロンドンの話、ニューヨークの話、社会情勢などにも話は及びます。

二人をつなげているのはもちろん本です。本を愛する二人が、ロンドンとニューヨークの距離を超え、20年もの間、愛と優しさ、ユーモアにあふれた手紙を交わし続けたなんて素敵ではありませんか。

時にイギリスの食料事情を心配した著者が、Frank一家にハムを送ったり、またFrank一家はみんなでHeleneにクリスマスプレゼントを選んだりします。

ロンドンに今年こそは遊びにいらっしゃい。

行けるといいのに。

そんなやりとりを20年も続けながら、決して会うことはなかったFrankとHelene。けれどHeleneには、Frankが送ってくれた本がある。憧れたイギリスの全てがここにある。最後のHeleneの手紙は、目頭が熱くなります。

I remember years ago a guy I knew told me that people going to England find exactly what they go looking for. I said I’d go looking for the England of English Literature, and he nodded and said : “It’s there.”
 Maybe it is, and maybe it isn’t. Looking around the rug one thing’s for sure : it’s here.
[from 84, Charing Cross Road]


ネットもアマゾンも電子ブックもない時代、なんとも贅沢に本は旅をし、求められ、人々の手から手へ渡り歩いていたのでしょう。もちろん今の便利な時代もいいですけどね。

ちなみに残念ながら、84 Charing Cross Road, London, W.C.2.に現在Marks &Coはありません。
当時のMarks &Co

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一方、Heleneが住んでいたニューヨークのアパートは(引越した後の方)、今でもちゃんと存在していて、しかもCharing Cross Houseと呼ばれています。Charing Cross House

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週末の雪と「富士日記」

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金曜の午後からアムトラックがキャンセルで、ギリギリ帰ってきたのだった。ウィークエンドにかけてガンガン降るわ降るわで、かなりの積雪量。車がこれくらい埋もれるほど。

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降った翌日は見事な晴天で、広い場所では子供達がソリで遊んでいた。私も夫とふたりで、雪投げしたり、雪だるまをつくろうと努力したり、一日中、体が冷えるまで遊んでいた。夜のお風呂が格別暖かかった。

でも雪がサラサラ過ぎてで、雪玉ですら上手に作れない。パウダースノーで雪だるまを作るには、コツがいる。セントラルパークではこんな上手に作っている人もいたけれど。

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ソリで遊ぶ子供たちを見て、夫が「犬をソリに乗せるとどうなのかな?」と。犬もいっぱいいたけど、乗せてる人はいなかった。
なんかそんな話、武田百合子の「富士日記」の中にあったなーと、上巻から読み返してみる。

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あったあった。やっぱり百合子だ(笑)。犬乗せてる。何度も繰り返し乗りたがるそうですよ。そしてそのまま中巻、下巻と一通り読み続けてしまった。

「富士日記」は、作家武田泰淳の妻の武田百合子が、富士の別荘での暮らしぶりを、日記としてたんたんと書き溜めたも。その日の献立、来客、買ったもの、起きたこと、夫婦の会話などが、練らずにさらっと、時に脈略なく書き記してあるので余計に面白い。

武田百合子の性格によるものか、文才によるのか、ただの主婦の日記だったはずのものが、素晴らしく魅力ある読み物になってしまったのであった。

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161冊目:Gathering Blue


Book No.161
Title: Gathering Blue
Author: Lois Lowry
Pages: 215 pages
Publication date: 2000

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“Mother?”
There was no reply. She hadn’t expected one. Her mother had been dead now for four days, and Kira could tell that the last of the spirit was drifting away.


作者は児童文学では大変有名な方で、彼女の一番有名な"The Giver"は、20年経った今でも、学校の指定図書になっています。

私はこちらの"Gathering Blue"が初めてなのですが(The Giverは、どうもあの表紙のおじいさんが・・)、これもざっくりとシリーズものみたいですね。

"The Giver"(1993)、"Gathering Blue"(2000)、 "Son"(2012)、"Messenger"(2004)と、すべて、舞台はユートピアを目指した結果のディストピアな世界で、その完全に管理された味気ない世界で生きる子供たちの試練みたいです。

主人公のKiraは、母親を亡くしたばかりで足の不自由な少女。この世界では、用のないもの、役に立たなさそうなものは、コミュニティから追い出されます。でも外は森で、森には恐ろしい『beasts』がいると言われていて、Kiraの父親もこのbeastsに連れ去られていません。

コミュニティは貧しく、もともと足が不自由なKiraを快く思っていない人は大勢います。織工職人の母親は、必死でKiraを守りながら、彼女が一人でも生きていけるように、自分の刺繍の技術をKiraに叩き込んできました。そしてKiraが、天分として織物職人であることを知り喜びます。しかし母親の保護がなくなった途端、Kiraは早速仲間から、住処を奪われ、追い立てられてしまいます。

Kiraはコミュニティの議会にかけられ、織工職人とし、村の管理下で生活するようになります。そこではKiraが想像すらしなかった生活が待っていて、Kiraは特別な技術を持った他の子供たちと一緒に、ここで働きます。そしてコミュニティの大切なローブを任されます。

Kiraは、刺繍は出来るのですが、まだ糸を染める技術は持っていません。この技術を取得するため、母親のかつての恩師を探し出します。全ての色の付け方を覚えたKiraですが、ただ一つ、ブルーの出し方だけは習得出来ずにいます。

Kiraはとても色に敏感です。そして色は感情を表します。このコミュニティは感情を押し殺す世界で、人々は力と機能性に支配されています。だからこそいっそう、感情を持つ子供たちのアーティスト性が貴重になっていきます。

さてKiraはブルーを見つけることができるのでしょうか。そしてBeastsのこと、父親のこと、Kiraたちを導いてくれるガーディアンの真実とは。

そして本当のところは、このコミュニティの人々が恐れているものは何だったのでしょうか。

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今週は比較的穏やかな気温でしたが、先週の寒波は凄かった。左はセントラルパークの湖で、右はボストンコモンのスワンボードの湖。写真では分りにくいけれど、両方とも丸々凍っています。
そして寒い中、歩き回ったり、人を待ったり、外にいる方が長くて辛かった。週末で家に戻ってきたけど、来週は水曜日頃からまたホテル暮らしになりそうです。




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*国内外問わず、夫の仕事の関係で引越しばかりしている40代の主婦(子供なし)です。最近は海外ばかりでいい加減日本に帰りたいです。
*すぐ引っ越すので知り合いが出来にくい/単独行動/インドア派、と引きこもり要素たっぷりではありすが、前向きに楽しみを見つけながら暮らしていければと思っています。
*読書や映画の感想を時々書いてます。

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