過ぎ去りしdays
夫婦2人家族、引っ越し妻、海外生活うん年目。いい加減日本に帰りたい・・。
237冊目 Nothing 人生に意味はない(児童書)
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Title: Nothing
Author: Janne Teller, Martin Aitken (Translator)
Publisher: Atheneum Books for Young Readers
Publication date: February 2010
Format: Hardcover
Pages: 244 pages

★★★★☆


“The reason dying is so easy is because death has no meaning,” he hollered. “And the reason death has no meaning is because life has no meaning. All the same, have fun!”
― Janne Teller, Nothing


ある日Pierre-Anthonは、人生に意味がないと気付き、木に登り、空を見上げ何もしなくなります。彼のクラスメイト達(13~14歳)、「そんなことはないよ、人生には意味があるよ」とPierre-Anthonを説得しようと試みます。

クラスメイトたちはそれぞれ意味があると思う物を持ち寄ります。最初は自分が大切にしているもの、自転車だったり本だったりするのですが、当然そんなものにはPierre-Anthonを説得させる「意味」はないわけで、持ち寄るものがどんどんエスカレートしていきます。
髪の毛、宗教心、死体、犬の首、純潔、体の一部と。

犠牲を払った者が、次の者にさらなる犠牲を強いていき、恐怖ゲームとなっていきます。一方で、残酷な意味の山は大人達の興味をひき、賞賛され、最後は芸術となります。芸術はお金になり、金で売れるならやっぱり意味がないじゃないかとPierre-Anthonにやりこめられ、最後は悲劇で幕を閉じる。

大人の嘘と偽善、子供の残酷さ。とても興味深い本で、いろいろ考えさせるエンディングです。

オリジナルはデンマーク。欧州ではいろいろ賞を取った本で、なんと児童書(!)だそうですが、ヨーロッパではアメリカや日本よりもニヒリズムが普通に空気のように存在している気がするのでそれほど驚くことでもないのかな(子供用のニーチェの本もあるし、そもそもキリスト教文化には伝道の書もあるし)。

意味を持たせる方が社会はうまく機能しますが、意味が個人を上回り、まるでその人のアイデンティティかのように振る舞い始めると、他人のことは批判するけれど自分への批判を許さない人を見下す大人で溢れますよね。でも「意味がない」が主流になると、「だから今を楽しもう」みたいな明るいニヒリズムが増えるならまだしも、退廃的なシニシズムに陥り、やっぱり他人のことは批判するけれど自分への批判を許さない人を見下す大人で溢れそうな気もする。

人生はたぶん、意味がないからこそ意味があるのだと思うけど、そんな言葉をしたり顔で言ったところでやっぱり意味なく響くだけ。だから著者はこの小説を書いたように私は思は思いました。


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*国内外問わず、夫の仕事の関係で引越しばかりしている40代の主婦(子供なし)です。最近は海外ばかりでいい加減日本に帰りたいです。
*すぐ引っ越すので知り合いが出来にくい/単独行動/インドア派、と引きこもり要素たっぷりではありすが、前向きに楽しみを見つけながら暮らしていければと思っています。
*読書や映画の感想を時々書いてます。



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