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[242冊目] My Name Is Lucy Barton

内職で読む本が多すぎて中断していた読書と感想をボチボチ再開していきます。

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Title:: My Name Is Lucy Barton
Author: Elizabeth Strout
Published: January 2016 by Random House
Hardcover 193 pages
ISBN1400067693

She said that her job as a writer of fiction was to report on the human condition, to tell us who we are and what we think and what we do.



ストラウト氏の本はまだ2冊目ですが、好きな作家だと思う。ストーリーを読ませるのではなく、心境を語る作家で好みを見つけるのはとても難しいので大事にしたいです。一行一行、センテンスを読み込んでしまう本なんて、今まで数えるほどしかないですし。文章というか意識の流れが、ストンとこちらに入ってくるかどうかが鍵です。ストンと入ってくる人には面白いし、入ってこない人にはそれほど面白い本ではないと思う。

クライスラービルディングが見えるマンハッタンの病院に9週間閉じ込められた主人公(Lucy Barton)と、お見舞いと付き添いで、ニューヨークに滞在した母との数日間。
Lucyは結婚してから母親とは疎遠になっていたし、もともと多くを語らない二人が、5日間小さな部屋で過ごすわけだけど、そこにドラマがあるわけでも、告白劇があるわけでもない。静かに、遠慮がちに、むしろ語らないことで伝える、足し算ではなく引き算で表現する技術が素晴らしい。

母との再会は、Lucyを過去の思い出に導きます。貧困、機能不全家族、孤独。母と娘の微妙な距離感が描いてあって、クセのある母親だけど筆者はジャッジするわけではない。愛と憎しみをカテゴライズするわけでも、分析するわけでもなく、あるがままに淡々と描いています。

文章を飾り立てたり、ドラマ仕立てにしたり、難しい言葉を使ったり、そういうことは絶対しない。人を描くが決してジャッジしない。誤解を恐れない。ストレートに書く一方で、結論を出さない(つまり決めつけない)。本のあるべき姿だと思う。「べき」を使うと教科書的だけど、私にはとても面白い本だった。

ちなみにこちらはもうすぐ発表される今年のブッカー賞で、ロングリストには入ったけど、ショートリストには残りませんでした。ショートリストに残っている本の中では"Eileen"を今少し読み始めていますが、Eileenも予想では一番不人気みたいですね。うーん。


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本屋には来年のスケジュール帳が並ぶと、あっという間に年末がくるのだ。

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