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[映画] THE SEAGULL/かもめ



"...and now I see at last, Constantine, that in our sort of work, whether we are actors or writers, the chief thing is not fame or glory, not what I dreamed of, but the gift of patience. One must bear one's cross and have faith. My faith makes me suffer less, and when I think of my vocation I am no longer afraid of life!"



チェーホフは大好きですが、戯曲を本で読むのが嫌いです。戯曲はやはりお芝居で観たい。できれば舞台で、無理なら映画で、上演されたらできるだけ見たいと思っています(The Cherry Orchard

昨日からパリスシアターで上映された"THE SEAGULL"。金曜初日の朝マチネを見に行ったのですが、結構混んでいて驚いた。配役もいいし、チェーホフの代表作だからでしょうか。

チェーホフの4大戯曲の中でも一番有名な「かもめ」。大女優を母に持つ作家志望の息子コンスタンティンとその恋人で女優志望の若い娘ニーナ。二人は成功して恵まれた大人たちを見ながら、自分たちも「何か」を達成したいし、「何者」かになろうともがいています。

コンスタンティンの母で大女優アルカージナと、その恋人で売れっ子作家のトリゴーリンはセレブ階級にいます。屋敷の同居人で一年中喪服を着たマーシャと貧乏教師ドヴェジェンコは夢も希望もない現実に生きています。ニーナとコンスタンティンはそのどちらにも転がれる感じです。セレブ願望は強いが才能にかけるニーナと、才能はあるけれど自信がなく自分がどうしたいのかさえ分からないコンスタンティン。現代でもわりとよくいる普通の若者のようにも思います。

夢みがちで、思慮に欠け、だまされやすく、最後はボロボロになるニーナが、私はかなり好きです。

自分はいたずらにもて遊ばれて捨てられるカモメではなく女優だと、頑張って自分に言い聞せる弱さと強さがある。冒頭の引用も彼女のもので、一番好きなセリフです。それに考えてみれば、十数年後、ロマノフ王朝が終われば特権階級は厳しい現実に直面します。その時、早々と地主の娘をあきらめ、修羅場をくぐり、自分の生きる道を見つけたニーナは、やっぱり正しかったのではないでしょうか。

現実は厳しいけれど、安易なセレブ風の暮らしには意味はなく、自分を信じて耐える強さこそに価値がある。現代こそ見直されるべきメッセージではありませんか。






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