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セントラルパークでゴロゴロしていると本当に気持ち良い今日この頃。
次引っ越しても、大きな公園が近くにあるといいな。

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Title: "Celestial Navigation"
Author: Anne Tyler
Used Book/278pp/Published 1974
Asperger Syndrome/Anxiety disorder/Agoraphobia/Family

最近日本のニュースで「引きこもり」という単語をよく目にします。
積読本にAnne Tylerが描く引きこもり男性の話があったので、この機会に読みました。


時は60年代、舞台はAnne Tylerなので、いつものボルティモア郊外です。

38歳になるJeremy Paulingは、いわゆる「お勤め」に出たことがなく、家の近くでちょっとした食べ物を買う以外、まったく出かけない引きこもりです。

ある日、彼のひきこもり生活を支えていた母親が亡くなってしまいさあ大変。葬儀どころか何の手配もできないJeremyの変わりに、他所に嫁いでいた姉たちが集まります。

上の姉は、Jeremyがこうなったのは母親が甘やかしたからだと信じているので(現に姉には厳しく、弟には激甘だった)、Jeremyの生活を変えさせようといろいろ試みますが、上手くいきません。

なぜなら、

Jeremyはパニック障害やアスペルガーの傾向があり、普通の生活は送れないのです。まだこういった認識が一般的にない時代です。
引きこもりの人の多くも、何かしらの性格上の傾向があり、そのために苦労している人がほとんどではないでしょうか。

Jeremyの母親は、繊細なJeremyのために、家の屋根裏部屋をJeremyのアトリエにして、新聞に公告を出し、Jeremyが得意のアートで、個人レッスンを取れるようにしていました。もちろん生徒は少なく、来てもすぐ辞めてしまいますが。

一方で、古い家は下宿にし、下宿人からの家賃収入で、Jeremyが暮らしていけるようにもしています。そしてもちろん家の権利とわずかな貯金はすべてJeremyに残します。姉たちもそれは当然のこととして承諾しています。

社会生活を普通に送れないJeremyが、「どうやったら一人でも生きていけるか」だけにフォーカスして、対策を立てている母親に感心しました。引きこもりを嘆くわけでも、諦めるわけでもない。変えられないものを受け入れる力と、変えられるものを変えていく力。必要以上に嘆かず、でも放任もしない。素晴らしいと思いました。

さて、幾人かの、Jeremy をよく理解し、愛している下宿人に守られながら、不器用にも母不在の生活に慣れていく Jeremy ですが、そこにわけありでシングルマザーのMary(とその娘)がやってきます。

母親の死により大きく揺れ動いたJeremyの世界ですが、ここにきてまた、第二の波が押し寄せるわけです。

JeremyはMaryにすっかり恋してしまうんですね。

純粋で優しいけれど頼れる存在には決してなれないJeremyと、経済的にも精神的にも追い詰められながらも頼もしい母親であるMaryの、ぎこちない関係が始まります。

本当にせつないストーリーでした。じんわりきます。

ところでタイトルですが、海上では何の目印もないので、天体を測定して、現在地を導き出します。その航海術のことを「天測航法」"Celestial Navigation"と言うんですね。何の目印もなく、孤独に、でも独自のナビで生きているJeremyそのもののようです。

今日おや。
サクランボの季節になりました!
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2019.06.12 / Top↑
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