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67冊目:Never Let Me Go

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Book No.67

Title:Never Let Me go

Author: Kazuo Ishiguro
Publication date: 2005
pages: 320pp

Memories, even your most precious ones, fade surprisingly quickly. But I don’t go along with that. The memories I value most, I don’t ever see them fading.

とらえ難いし形容し難い不思議な小説でした。かなり前に読み終わったのですが、なかなかレビューを書く気になれず。感想を書いちゃうと絶対ネタバレになりますし。

人はたびたび自分は何のために生まれて来たのだろうかと悩みます。自分の使命や人生の意味を見つけることは、幸せで充実した人生の鍵であるかのように思えます。使命という言葉の裏には、世のため人のためという意味合いが含まれています。人のため、誰かのために生きてこそ充実した人生。確かにそうかもしれません。

ナレーターであるKathyが育った寄宿舎は、ある使命を持って生まれて来た子供達のための学校です。物語の大まかな筋は、使われている単語で始めからある程度の察しがつくように思います。それなのに、「一体全体何が起こっているのか」という気持ちが離れず本を読み進めてしまいます。おぼろげな姿は決してクリアにしてもらえない。そして運命を受け入れているKathynの陽気で落ち着いたトーンが、かえって不安にさせるのです。

一見特殊に見えるKathyたちの世界ですが、考えてみればそれほど特別ではなく現実世界も同じだったりする。虐待される子供のほとんどはその親から逃げ出すという選択を与えられていないし、大人になってもほとんどの人間は、与えられた世界の与えられた枠内に留まる。大方の人間は自分の運命を甘受し、ささやかな記憶をつなぎ合わせ、自分の物語を作っていく。

この物語が悲しいのだとすれば、それは生まれて来ることそのものの空しさかもしれないし、この物語が美しいのだとしたら、それは人が人であろうとする姿が描けているからかもしれない。

とにかく読まねば本です。わたし自身も近いうちにもう一度読み返すつもりです。Kazuo Ishiguroの他の本も探さねば!

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