過ぎ去りしdays

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86冊目:Room

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Book No.86

Title: Room

Author: Emma Donoghue

Publication Date: September 2010

Pages: 336pgs



5歳になったJackは、大好きでニコイチの母親Maと一緒に、小さな部屋で暮らしています。

Jackはこの部屋から出たことがありません。部屋には、ベッドと机と洋服ダンスとテレビがあって、Jackは洋服ダンスで眠ります。

Old Nickが外の世界(Outer Space)からやって来て、食べ物と"Sunday treats"を置いていってくれます。テレビの中の出来事は、みんな作り物で本物ではないと、JackはMaから教わります。Jackにとって世界は、Maと、この部屋だけ。とてもシンプルで難しいものではありませんでした。

5歳になるその日までは・・・


Today I'm five.

I was four last night going to sleep in Wardrobe, but when I wake up in Bed in the dark I'm changed to five, abracadabra.




う・・レビューが難しい・・。多くを語るとネタバレになりそうです。

感想を一言で言えば「すごい・・でも二度と読み返したくない・・」でしょうか。ある種の傷跡を読者の心に残す作品です。

物語は、5歳になったばかりの少年Jackの声で書かれています。なので読者はRoomの異様さに気がつきながらも、何が起こっているのかが最初はわかりません。5歳の少年の目線で本を読み進めていくことになります。

50ページ(ハードカバー)を過ぎた頃、JackはRoomと外の世界の説明を受けます。同時に私たちも詳しい事情を知ります。そしてその後は、息をつく間も与えない展開となります。文章が簡単なこともあり一瞬で読み終わるでしょう。


この小さな部屋Roomは、前半でJackとMaを、どこの誰よりも強く結びつけます。けれど後半で、決定的な違いを二人に与えるのもこのRoomなのです。

MaはRoomを心底憎んでいます。当然ですよね。感情移入という点で言えば、まだ26歳の、この母親の状況を想像しただけで誰もが窒息死しそうになるのではないでしょうか。

けれど、JackにとってRoomとは、Maと片時も離れずに過ごした特別な場所です。産まれたときから5歳まで、Maの全てを独占した空間であり、ずっとずっと命をかけて守られてきた聖地でもあるわけです。ある意味母親の胎内の延長であるRoom。Jackは、小さい子供にとって最悪の環境と最高の環境を、同時に与えられたとも言えるかもしれません。

共依存なしには生き続けられない環境で、母親という、自我を形成するには一番微妙な存在しか知らずに育ったJackは、果たして他者を、外の世界を理解出来るのでしょうか?母親との気持ちの温度差を受け入れることが出来るのでしょうか?「本当の意味で」Roomから、出ることが出来るのでしょうか?彼にとって自分とは常に、"me-and-Ma"であるのに。

人々の好奇心を引くショッキングな事件を背景に、この小説は、人とのかかわり合いや距離間の難しさ、環境の変化の前で誰もが直面する不安と勇気がテーマです。私もそうだけど引きこもりがちの人にも読んで欲しいなあ・・

2010年のブッカー賞、ショートリストまで選ばれた作品です。最終には残りませんでしたが、話題性で言えば、今年のブッカー賞で間違いなく一番だったように思います。私も図書館ですぐ予約を入れ、丸2ヶ月待ってようやく読めました~。



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Posted by koburii on  | 2 comments 

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