過ぎ去りしdays

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103冊目:Olive Kitteridge

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Book No. 103


Title: Olive Kitteridge

Author: Elizabeth Strout

Publication date: March 2008

Pages: 288 pp




She didn't like to be alone. Even more, she didn't like being with people.


主人公のOlive Kitteridgeは、元数学教師の中年女性。旦那さんのHenryと 息子のChristopherの三人家族。

13編からなる短編集は全て、このOliveがどこかしらに登場します。彼女が主役の時もあれば、全然関係ない人たちの物語で、脇役程度の登場の時もあります。

読みどころはOliveのキャラクターそのものでしょうね。なんとも形容し難いのですけれど。せこかったり、卑しかったり、意地悪だったり、実直だったり、真面目だったり、可哀想だったり、ムカついたり。要はかなりリアルに普通の人間が描けています。

面白くないと自分より不幸な人を探したり、思い通りにならないことに腹を立てたり。下手な取り繕いが出来ずに人を苦しめたり、逆に誰かを慰めたり。誰からも好かれる人の良い旦那さん、Henryとは対照的に、Oliveは決して人から好かれるタイプではなく、友達も少なく、老後どんどん寂しくなります。一人息子ですら近づきません。たぶん誰もが誰かを思い出すのではないでしょうか。自分かもしれませんね。彼女のセミリタイア期から晩年に起きた出来事が描かれています。

舞台はニューイングランド、メイン州の小さな町。メイン州はアメリカでも東の最北にあり、緑の夏と紅葉が美しく、移民が少なく、何となく落ち着いた静かなイメージがありますね。

ちょっと小説とは関係ない私事なんですけど、以前友人達と、平家の落人伝説が残る、北陸のある村に遊びに行ったんですね。その時、村の人の乗り合いトラックみたいなものに乗せてもらい、村人たちの噂話を途切れ途切れに聞いていたんですね。「誰々さんの家の嫁さんが・・」「あれは他所の人間だから・・」「この前の集会は実は・・」そんな話を聞くでもなく、耳に流していると、突然、その村のコアの部分が、形を持って現れて来たんです。そしてその小さな村で起こる素朴な出来事の数々が、すごくいろんな意味を持っていて、いろんなことを含んでいるのだなあと。

この小説を読んでいて、なんとなくその時のことを思いだしました。小さな町では、些細なことが意味を持っていたり、結構大きい事件がさらっと通り過ぎたり。主役としてではなく、脇役としてOlive Kitteridgeを登場させることで、彼女がより多面的でまるで知り合いの誰かのような錯覚まで起こす。ダイレクトに出来事を説明しないことで、逆に読者を引き寄せ、言葉だけでは伝えきれない何かを表現します。

2009年、ピューリッツア賞受賞。作者のホームページはこちら。http://elizabethstrout.com/

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