和書「八日目の蝉」母性とは


今の街、ブックオフがあるんですよー。安いし、結構新しい本も揃ってるし、嬉しい限りです。

早速先日5ドルで購入した本がこちらです。実は先日の「シズコさん」もブックオフです♪

タイトル:八日目の蝉

作者:角田 光代


私はブックレビューをしている方のブログをよく覗くのですが、好きなブロガーさんがほとんどもれなくレビューしていたのがこちらの本。よく知りませんが映画化もされたそうですね。

***
不倫相手の子供を妊娠し、おろしたことで、二度と子供を産めなくなってしまった希和子。親もきょうだいもなく、子供も産めず、天涯孤独となってしまう。「子供も産めないがらんどうな女」と、不倫相手の妻から罵られ、彼とその妻との間に赤ちゃんが生まれたことを知る。

「彼の子を見たい」。忍び込んだ彼の家で、希和子を待っていたのは、無邪気に笑う赤ちゃんだった。その笑顔をひと目見た瞬間、希和子は悟る。
「私はこの子を知っている」と。

そして、生後間もない赤ちゃんを抱きかかえた希和子の逃走劇が始まるのです。

逃げて、逃げて、逃げのびたら、私はあなたの母になれるだろうか・・・・。


何だかいろんな意味で、母性は強いなあ~と思った1冊です。

子供を失ったエンペラーペンギンが次に取る行動は、隣にいる母親の子供を奪うことです。それもまた母性でしょう。本能なんていうものは、本来きれいなものばかりではないですから。

子供を誘拐した希和子が薫に注ぐ愛情は、感動的に美しく、たくましい。この母性の前では、犯罪すら霞みます。それでも犯罪は犯罪だよと、一言で片付ける人はいないでしょう。

一方薫の実の母恵津子ですが、薫が奪われようが奪われまいが、どうであれだらしのない女性として描かれています。でも生後間もない自分の赤ちゃんを奪われた母親であることは事実です。そしてその娘は、自分の旦那を寝取ろうとした女によって育てられ、知らない子供となって帰って来たわけですから、こちらの苦悩も計り知れないと思います。
愛したいのに愛せない。自分が産んだはずなのに、「自分はこの子をまったく知らない」という空しさ。

薫にとってはどちらの母親も、どうであれ自分勝手なわけですが(誘拐/育児放棄)、自分もまた子供を身籠ることで、二人の母親を理解しはじめるのです。どうであれ --- それがエゴであれなんであれ --- 自分は愛された。血のつながりは無くても本能で愛する母と、自分で産んだのに意思の力で愛する母、どちらがいいとか、そういう話でもないでしょう。

それにしてもこの小説には、びっくりするくらいたくさんの「母と娘」が登場します。まず希和子と薫。薫(恵理菜)と本当の母親恵津子。薫の友人康枝とその子供。廃墟に住む変なおばさん、とみ子とその娘。千草とその母親。ホームで知り合った久美とその母昌江。小豆島のホテルで働く母親と、幼い薫の面倒をみてくれた少女。そして薫と、薫に芽生えた命。
これにホームの女性たちが加わり、女、女、女だらけの小説です。男は文字通り種馬程度の役割です(笑)。


全体を通して、とても面白かったです。
女性はみな大人になれば、子供を産もうが産まない選択をしようが、母親になるとはどういうことなのか一度は考えると思うので、そういう意味では全ての女性向けです。私も一度開いたらそのまま、本を置けずに一晩で読み終えました。アメリカだったら間違いなくブッククラブで使われそうな1冊です。

ただ最後に、それを言ったらおしまいよ、なのだけど・・

不倫でも犯罪でもいいのですが、ただ産めない環境なら、しっかり避妊だけはして欲しいわ。だってそもそも希和子が妊娠にさえ気をつけていれば(避妊は男性だけの責任ではないしね)、この事件は起きなかったのよねえ。。なあんて。



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*国内外問わず、夫の仕事の関係で引越しばかりしている40代の主婦(子供なし)です。最近は海外ばかりでいい加減日本に帰りたいです。
*すぐ引っ越すので知り合いが出来にくい/単独行動/インドア派、と引きこもり要素たっぷりではありすが、前向きに楽しみを見つけながら暮らしていければと思っています。
*読書や映画の感想を時々書いてます。

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