高峰秀子の流儀

著:斎藤明美




銀幕のスターと言えば当然この方でしょう、高峰秀子さん。去年86歳でお亡くなりになった昭和の大女優。

先日、ちょうど高峰さんの代表作「二十四の瞳」を見直し(5~6回は観てるような)、またたっぷり泣いていたところです。これと「トイ・ストーリー3」だけは本当見るたびに泣きますわ。

文句無しの日本のベスト映画ですが、ある種のデトックス効果もある作品で、鑑賞後、汚れが取れたような、憑き物が取れたような、そんな気分になる映画なのです。1キロくらい体重も落ちたのでは?、と思うくらい心が洗われる。

これには高峰秀子さんの存在も大きいでしょう。高峰秀子演じる「おなご先生」は、儚げですが同時に力強く、不思議な魅力があります。ベタベタしたところがなく、ある意味素っ気なく、でも深い暖かみと、人間的な堅実さと優しさに満ちた女性です。

芯のしっかりした女性、そんなイメージの彼女ですが、この本はそれを裏付けるような内容でした。作者は、晩年、高峰さんの養女にまでなってしまったライターの斎藤明美さん。旦那さんを除き、唯一高峰さんに近づけた人でしょう。尊敬と愛情がこもった、ラブレターのようなバイオグラフィーとなっております。

「子役は大成しない」「映画会社に背いてフリーになった女優は干される」「女優は私生活では幸せになれない」、スターにまつわる数々のジンクスを、大・大スターでありながら、すべて打ち破った希有な女優、高峰秀子さんの生涯は、それはそれはとても興味深いです。wiki

わずか4歳から、義母とその親戚のため、一家の大黒柱となって働き続けなければならなかった女性。女優という稼業が、嫌いで嫌いで仕方なかった人。

行きたかった学校にも通えず(しかも親戚の子供達は自分の稼ぎで学校に行っているのに)、学ぶことや教育に関してコンプレックスもあったでしょう、様々な葛藤もあったでしょう。けれど自己憐憫で腐ることもなく、映画界が自分の学び場だと幼心に言い聞かせ、自分を律し続けた精神は素晴らしい。そして女優と言うよりは、職人であり続けた姿勢も見事です。

30歳目前で押しも押されぬ大スターだった彼女は、当時無名で貧乏な助監督だった松山善三と結婚。ドル箱スターでありながらも、義母と親戚に吸い上げられていたため、手元にはわずか数万しかなかったそうです。自分一人で準備した結婚式も、新生活の資金も、すべて借金だったそうですよ。

その彼女が「人はその時その時で、身丈にあった生活をするのが一番」と言うのですからね、頭が下がります。

また私が感心したのは、高峰秀子さんが、50年以上の結婚生活で一度もお皿やお茶碗を割らなかったというエピソードです。食事の準備も後片付けも、引退後は誰にも手伝わせず全て彼女一人でこなしたそうですが、ガチャガチャ音を立てることすらなかったと。がさつでガチャガチャバタバタ調理する私は、かなり見習いたい。

そもそもバタバタしないためには、時間的、精神的な余裕が必要です。そして余裕を生む為には、規律が必要です。けじめのない人間が、時間や物事に追われるからです。

彼女は映画界で、映画作りを通して、このけじめと規律と忍耐力を学んだのではないかしら。小さい頃にこれらをきちんと訓練付けられた子供は、大人になって成功する人が多いです。規律や忍耐なんて、最近は軽視される傾向にあるけど、やはり大事なような気がします。けじめの無いダラダラ生活を送る私が言うのも本当に本当になんですが。

高峰夫婦には、お正月も、記念日もなく、普段と変わりなく365日過ごすそうです。逆に言うと、毎日が特別な日なのでしょうね。普段からきちんとしていれば、年末の大掃除も必要ないですしね。とにかくいろいろと学ぶところが多い一冊でした。

高峰秀子に倣いて。ここ10年ほど、お手本にしたいような女性が見つからなかったのですが、この本で久しぶりに胸がときめきましたよ。




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