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136冊目: Salem's Lot

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Book No.136
Title: Salem's Lot
Author: Stephen King
Publication Date: 1975
Pages: 653pp(Mass Market)


うえ~ん怖かった。でもやめられないとまらないで、これのせいでここ数日毎晩寝たのは3時過ぎ。しかしマスマーケット版とはいえ、650ページ級は久しぶりです。

The town knew about darkness. It knew about the darkness that comes on the land when rotation hides the land from the sun, and about the darkness of the human soul. These are the town's secrets, and some will later be known and some will never be known. The town keeps them all with the ultimate poker face.

そして登場人物が!多いことっ!
軽く30人はいましたか。とはいえ、町が一つ消滅する話をリアルに伝えるためには、最低これくらいの人間模様は描かないとダメでしょうね。それにしても、細部の描写がどうしてこんなにも恐怖心を引き立てるのでしょうか。キャリーに続くキング2作目の作品ですが、息の詰まる閉塞感と、映像が簡単に浮かぶ独特の文章が、もうこの頃既に完成されているのがすごい。

メイン州にある、Salem's Lot(Jerusalem's Lot)という架空の小さな田舎町(というよりほぼ共同体レベルの規模)が舞台です。時は1976年8月、そして10月までに、町は「完全に」崩壊します。

主人公のBenはスランプ気味の作家で、幼い頃過ごしたこのSalem's Lotに戻ってきました。彼はあるトラウマ経験を抱えています。

さてこのSalem's Lot。何で滅びるかというと、それが吸血鬼です。吸血鬼でリアルに人を怖がらせるって、結構大変だと思うんだけど、さすがホラーの巨匠です。しかもこの吸血鬼、十字架や聖水に弱く、日没まで出てこないという、超王道バンパイヤです。「初めて訪問した家では、その家人に招かれなければ侵入できない」というルール(Wiki)もちゃんと守るし、それがまた異様に怖い。Let Me In…。

前半は吸血鬼の正体も曖昧で、バンパイヤという言葉すら出てきませんが、ジワジワと忍び寄っていく感じがもう絶妙です。後半はバンパイヤとの対決になりますが、主人公の作家Benと、少年Markのコンビがいいねえ。ラストがまたズーンとくる。

バンパイヤというのはとても興味深いですよね。私なんて吸血鬼ものの映画を見てると、ハラハラしながらもふと、「これって逃げてるから怖いんで、噛まれちゃえば仲間だよね?」とか思ったりしちゃうんですが、この「悪の側にいってしまう」というアイデアって、クリスチャンの方にはそれほど恐怖なのかしら。日本は鬼ですら、良い鬼と悪い鬼がいますからね。それにしても吸血鬼って、仲間を増やそうとするけど、増えたら増えたで困りますよね。増やすしか生き方がないのかもしれませんが。なんだか年金みたいだわ。

ホラーを超えて、共同体が消滅していく様が上手く描けています。以前読んだガルシア・マルケスの「Chronicle of a Death Foretold」を思い出しました。こちらは現実に起きた事件が元ですが、外部の人間が入り込んだことによって、瀕死の町に何かが起き、白昼堂々人殺しが行われます。町にしろ、村にしろ、国にしろ、崩壊の引き金を引くのは外からの「何か」ですが、この侵入者を入り込ませる土台というのは、中の人間によってすでに用意されている。でもだからといって悪を野放しには出来ない。

人間の弱さと強さを、ホラー小説を通して見事に描いちゃうんだからすごいです。


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コメント

> Alexさん

たまに無性に読みたくなります(笑)。あと、キングは好きで結構読むのですよ~。今一番読みたいのも、「11/22/63」。これはホラーじゃないですけど。ハードカバーで800ページ越え、手に持った瞬間ダンベル級の重さで萎えるのですが、いつか読みたいなあ。

実はそもそも小野不由美の『屍鬼』が読みたかったのですけど、5冊揃えるのも高いし、このSalem's Lotがオリジナルだというし、Alexさんも面白いとおっしゃっていたのを思い出しwこちらにしました。

それとこちらの本、ソルトレイクで行われる"The Vampire Novel of the Century Award"にノミネートされてました。

http://www.stokers2012.org/vampnovel.html?mid=57

今世紀最高のバンパイヤ本を決めるそうです。他のノミネート作品と比べても、最有力候補だと思いません?
[2012/03/29 22:41] URL | koburii #- [ 編集 ]

> kajiさん

そうですそうです。呪われた町です。

ジャンル分けってある意味無意味ですよね。スティーブンキングは、本屋によっても、普通のフィクションのコーナーにおかれていたり、ホラーのコーナーに置かれていたりで違うし。
[2012/03/30 14:22] URL | koburii #- [ 編集 ]

> Alexさん
あ、やっぱり他の作品もすごいのですか(笑)。さすがお詳しい。
何となくキングが断トツで有名なのかと思ったけど、そうでもないんですかね。

11/22/63はタイムトラベル系で面白そうで読みたい・・
でも本当、半端じゃない重さでしたよ!
日本みたいに何でもかんでも小分けにするのは嫌いなのですが、
だからといってあの重さはないだろうみたいな。
[2012/03/30 14:27] URL | koburii #- [ 編集 ]

年金!!(爆)
[2012/04/01 09:30] URL | tomomi #- [ 編集 ]

>tomomiさん

やっぱ年金って怖いですよ~(笑)
[2012/04/01 12:42] URL | koburii #qjKXimFw [ 編集 ]


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