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140冊目: Dinner at the Homesick Restaurant

2012年05月22日

dinneromesickrestaurant.jpg

旅から戻りました。列車の旅、しかも一人旅ということで、もっと優雅に本も読めるかと思っていたのですが、一人だとあれこれ調べものがあったり準備したり、とてもじゃないけど本どころじゃなかった。やはり旅は夫と二人が一番楽でいいわ。
とりあえず、半分読み終わってたAnne Tylerと、あとエッセイ1冊と、和書1冊だけ読んだので、順次感想を。

Book No.140

Title: Dinner at the Homesick Restaurant
Author: Anne Tyler
Publication date: 1982
Pages: 303pp

最近19作目の新作が出たばかり(The Beginner's Goodbye )のAnne Tylerですが、こちらのDinner at the Homesick Restaurantは、1982年の彼女の9作目にあたる本です。ちょうど立て続けに代表作を書き上げた、乗りに乗っている時期の作品ですね。Anne Tylerはもっと読もう。

□以前のAnne Tylerの読書感想

・63冊目: Digging to America
・104冊目: A Patchwork Planet

"Ezra's going to have him a place where people come just like to a family dinner," Josiah said. "He'll cook them one thing special each day and dish it out on their plates and everything will be solid and wholesome, really homelike."

この作品は、Anne Tyler自身も一番気に入っている作品だそうで、インタビューでも、他の全ての作品が消え去って一冊だけ自分の作品を残せるとしたら、迷うことなくこの1冊を選ぶと言い切っています。それだけ自信作でもありようです。

Anne Tylerは様々な「家族」を描き続けている作家ですが、それにしてもアメリカにおける「家族」とは何なのでしょう。ステップマザー、ステップファザー、異母異父きょうだい、時には文化や肌の色、生まれた国まで違う人々が「家族」という名のもと寄り集まって生活する。間違いなく日本人のように、家族=血、ではないわけです。そしてアメリカ人は生涯平均引っ越し回数が12~14回ともいわれます。家族=故郷や土地でもないわけです。ではなんなんのでしょう。まあそこを描くのがAnne Tylerなのですが。小説に登場するのは、おなじみの問題を抱えた家族で、舞台もいつものボルチモア。

主人公のPearl Tullは、3人の子供がいる主婦です。夫は出張の多いセールスマンですが、ある時から家に帰って来なくなります。Pearlはスーパーのレジ係をしながら一人で子供3人を育て上げていきます。このPearlと3人の子供たちの、35年間が描かれています。

見知らぬ土地で、夫を失い、子供3人を育て上げる。Pearl は友人も作らず、関心は子供だけです。このような状態で、一家は共同体から孤立しています。取り立てて問題視するほどの孤立ではないので、誰も気にとめない類いの孤立です。そして疎外感はこの本の重大なテーマの一つであり、アメリカという国が抱えているテーマでもあります。Pearl自身、常に疎外感を身につけて歩いているような感じです。離婚も移動も当たり前のアメリカでは、このような家庭もたくさん存在するでしょう。

子供たちは、ワイルドで成功者タイプの長男のCody、独立独歩タイプの長女Jenny、そしてPearlのお気に入りでもある、優しい末息子のEzraです。Ezraはのちにレストランを運営します。そしてここで、ことあるごとに「家族」の象徴であるディナーを、みんなでテーブルを囲んで食べようとします。けれど毎回毎回衝突が起き、みんなで夕食を終えることが出来ません。お祝いの、サンクスギビングの食事こそが、彼らにとって唯一「家族」を表すものなのですが、それがどうやっても、成功しない。噛み合ない。みんなが努力するにも関わらず、です。

悲劇でもなく、喜劇というわけでもなく、またハッピーエンディングでもありません。広大なアメリカの工業都市で生きる弱小単位の家族の姿と、疎外感と、うまくはいかなくても絆を求め続けずにはいられない人々の姿を、丁重に、リアルに描いた本です。読み終わった後も、ずっと長く心に留まる作品の一つだと思います。


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コメント

Re: No title

> kajiさん

ありがとうございます~。ほとぼりが冷めた頃、コソっと載せる予定です(笑

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