夫婦2人家族、引っ越し妻。いいかげん日本に戻りたい主婦の日記〜散歩/本/コーヒー(おやつ)他。

「小さいおうち」中島京子

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「小さいおうち」 中島京子

 初版発行|2010年

京極夏彦のせいで、脳みそが洋物を拒否します。もうしばらく和書でいきます。
こちらはお気に入りの読書ブロガーさんたちが、挙っておすすめしていたのでとても気になっていた本です。

歴史の教科書で、メインの年表の横とかに、ちょこっと小さいイラスト付きで紹介されるトリビア的なお話ってありますよね?

生活様式とか、当時の食事とか、何を着てたとか、何が流行ったとか。テストには出ないし、授業でも取り上げないけれど、何よりも時代を感じさせてくれ、ぐぐっと身近に感じさせてくれるあれ。私なんかも年号なんかはそっちのけで、そんなのばっかり読んでいた記憶があります

中島京子さんの「小さいおうち」は、そんなトリビアがたくさん詰まっていて、ヒストリカル・フィクションと言ってもただ歴史に沿うだけでなく、女中の目から見た、第二次世界大戦に突入する日本がとても興味深く描かれています。

昭和15年に開催されるはずだった東京オリンピックや紀元二千六百年際の行事、中止された万博のエピソードなどはとても楽しく読める。
また戦争突入直前までの、わりかし暢気に構えていた庶民の生活の描写が特によくて、ああもうすぐ大空襲だよとか、でもその年は戦争だよとか思いながら読むので意外とハラハラさせられた。

主人公のタキちゃんは、昭和5年、尋常小学校を出るとそのまま東京に女中奉公に出されます。そこで出会った奥様、時子さんと恭一坊ちゃん、そして旦那様と過ごした、小さい赤い瓦屋根の洋館での日々。暖かく、甘酸っぱく、夢のような時間。

この思い出を、60年後、80も遠に過ぎたであろうタキが語ります。若いタキちゃんと、老いたタキばあさんの生活がパラレルで進みます。最終章はタキばあさんの甥っ子である健史君により、別の形で小さいおうちが語られます。この家で起きていたことは、本当は何だったのか。鋭い感性を持った芸術家によって描かれたもう一つの世界とは。

作者中島京子さんは、当時を丹念にリサーチされており、タキちゃんの針仕事じゃないけど「見えないところに手を抜かない」。長年雑誌社で編集者やライターとして活躍されていた方だからでしょうか、枠組みがしっかりしていて、手落ちのない小説という感じです。キャラクターにはとても深みがあり、味があり、魅力的。タキちゃんはもちろん、私は若奥様の時子さんも大好きになりました。

何よりも読ませるのが昭和の台所。食事がどれもこれも美味しそうで、溜め息が出ます。タキさんの家事の工夫は見習いたいし、きちんきちんとした生活様式は、読んでいるだけで背筋がシャキン!として、身が引き締まるほどです。一日中こまめに動いて、家事をしていたんだろうなあ。見習いたいっ

こちらの本は図書館でお借りしたのですが、私の中で数少ない、「読んだ後に買うと決めた本」です。だって私は私で、タキさんさんと絶対お別れしたくないんですもの〜。


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*国内外問わず、夫の仕事の関係で引越しばかりしている40代の主婦(子供なし)です。最近は海外ばかりでいい加減日本に帰りたいです。
*すぐ引っ越すので知り合いが出来にくい/単独行動/インドア派、と引きこもり要素たっぷりではありすが、前向きに楽しみを見つけながら暮らしていければと思っています。
*読書や映画の感想を時々書いてます。

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