170冊目:The Sense of an Ending

Book No.170
Title: The Sense of an Ending
Author: Julian Barnes
Publication date: August 4, 2011
Pages: 163 pages




読み終わりました。

最後の最後、残り数ページというところでびっくりしましたけどどうなのこれ。
もしかして、これも所詮Tonyの考えだした結論に過ぎずないのでしょうか。
Veronicaが何度も何度もTonyに
"You just don't get it, do you? You never did, and you never will."
とか言い続けるものだから素直に唸れないエンディングだった。

ちょっと難しかったですねやっぱり。最初にあげたように、落ちどころも確信が持てないんで・・。まあでも一応満足しました。

I know this much: that there is objective time, but also subjective time, the kind you wear on the inside of your wrist, next to where the pulse lies. And this personal time, which is the true time, is measured in your relationship to memory.

この小説は、記憶や現実の主観性をあつかっています(テーマはなんだろう?老い?記憶?エロスとタナトス?)。人間とは自分で築きあげた城(もしくは監獄)の奴隷のようなものです。事実はどこまで事実なのか。現実とはなんでしょう。私たちは記憶を基に人生を考えますが、その記憶はそもそもどこまであてになるのでしょうか。

主人公は60を過ぎた初老の男性Tonyです。現在は独り身だけど、別れた妻とも定期的に会い茶飲み友達ちとして上手くやっているし、成人した娘には孫もいる。特別何をしたわけではないけれど、平凡にそれなりの人生を送ってきたつもり。

パート1では主人公が40年前の学生時代を振り返ります。哲学や理想を語り合う仲間。中でも影があり、先生ですら一目置く友人に覚える羨望と嫉妬と理解。恋人のVeronicaと、彼女の家で過ごした週末。裏切り。そして友人が取った悲劇。

パート2では初老となった主人公の現在で、なぜか昔の彼女の母親が亡くなって、老人にあるものを遺贈したという知らせを受けます。わずかなお金と、ある日記です。そして元彼女との40年ぶりの再開。そして主人公はある衝撃の事実を知ることとなります。

過去を振り返りながら、過去を問いながら、主人公の心は揺れ動きます。自分は一体全体、人生で何をしてきたのだろう。何を学んだのだろう。

- What did I know of life, I who had lived so carefully? Who had neither won nor lost, but just let life happen to him. Who had the usual ambitions and settled all too quickly for them not being realized? Who avoided being hurt and called it a capacity for survival? Who paid his bills, stayed on good terms with everyone as far as possible, for whom ecstasy and despair soon became just words once read in novels? One whose self-rebukes never really inflicted pain?
- I had wanted life not to bother me too much, and had succeeded - and how pitiful that was.


平凡をよしとし、冒険を避け、その結果何を得たというのか。
うまくやり過ごしただけの人生で、哲学的なことを何も探求せずに、何一つ真実に近づくことなく、年だけ取ってしまった自分。このあたりの空しさは誰もが馴染みあるものではないしょうか。それともこの空しさこそが、”老い”なのでしょうか。
主人公にとってみれば、" only true philosophical question"を探求した友人と比べてなんとちっぽけな自分でしょう。

英語のせいでそこまで浸れず、理解力も半分なんですが、心に響く台詞も多くて個人的にはとても気に入った。もともと老人ものが好きなんですが、これがスラスラ読めたら、たまらんだろうなあと思った。年を取るほど面白そうだし、もう少し英語力をあげて読み返してみたい。
イアン・マキューアンやカズオイシグロもそうだけど、ノスタルジー溢れる作品を書かせると、英国(育ち)男子は断トツですね。


週末からまた移動生活に入ります。今回は頭痛もないし、本やマックも持って行こうかな。


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*国内外問わず、夫の仕事の関係で引越しばかりしている40代の主婦(子供なし)です。最近は海外ばかりでいい加減日本に帰りたいです。
*すぐ引っ越すので知り合いが出来にくい/単独行動/インドア派、と引きこもり要素たっぷりではありすが、前向きに楽しみを見つけながら暮らしていければと思っています。
*読書や映画の感想を時々書いてます。

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