夫婦2人家族、引っ越し妻。いいかげん日本に戻りたい主婦の日記〜散歩/本/コーヒー(おやつ)他。

179冊目:Will You Please Be Quiet, Please?

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長文が読めないので、久しぶりにカーヴァーの短編集を読んだ。21の短編が収録されています。
秋なのにあまり読書な気分になれない今日この頃です。
紅葉も綺麗ですし、冬が来る前にあれこれしたい焦りもあり、じっとしていられないのか。ネットする時間も極端に減って、それ自体はいいことなのですが、読みたい本リストがあまり増えない。。あとまた編み物したいわ。


85冊目の"What We Talk About When We Talk About Love"、
57冊目:の"Cathedral"に続き、
カーヴァー三冊目。出版順ではこちらの作品が最初なのですがね。

Book No.179
Title: Will You Please Be Quiet, Please?
Author:Raymond Carver
Publication date:Feb. 22, 1976
paperback:251pp

いつもの通り、特別な舞台設定はなく、ごく一般的な、生活に追われている中流(というより中の下か)家庭の日常。その中で起きる、なんてことないちょっとした出来事。

たまに人と話をしていて「で?」とか「その話のオチは何?」とか言われてしまうことってありますよね。オチとかじゃなくて、その一連の出来事そのものに何か意味があって、それを伝えたいんだけど上手く話せなくて、みたいな。

カーヴァーの作品も全てそんな感じなのだけれど、やはりそこはカリスマ作家。言葉にならないものだけど、きっちり読者に何かを差し出してきます。

登場人物はほとんど生活が大変な普通の夫婦で、子供がいて、夫は職を転々としたり安月給で、奥さんはパートに出たりやりくりに追われています。

カーヴァー自身がそのように生活と子育てに追われながら小説を書いていた作家で、がっちり現実だけに生き、特別なドラマや感動的な出来事は描きません。彼が描くのは日常の暮らしと、その日々のやりくりや妥協を通して生まれるちょっとした瞬間(曖昧だけれども啓示的な)です。そしてそれをシンプルに描いています。

作品をいくつか紹介。

“The Student’s Wife”

個人的に気に入った作品。うちの夫も2年くらい無職で学生だった時期があるからか。
不眠症の奥さんの話です。タイトルから旦那さんは学生らしいが、詳しくはわからない。旦那さんは学生ならば、おそらく仮に仕事をしていても稼ぎは少しだろうし、それゆえに生活が苦しいこと、服や日用品も満足に買えない状況であることはわかる。また将来が見えないことも。旦那さんは奥さんの不眠症に可能な限り付き合っているようです。これを旦那さんの優しさと取るかどうかは人それぞれで、私は旦那さんは旦那さんで罪悪感でもあるのかと。そして奥さんは、一人眠れないまま夜を過ごし、美しい朝焼けを見ます。

“Fat”

レストランで働くウェイトレスが、今日店に来た、ものすごく太った客について延々と語る話。彼の外見、彼が食べた物、仕草、彼との会話など。特別なドラマは、今もこれからも、おそらく何も起こらないであろうと思われる大衆向けレストランで地味に働く女性ですが、自分を変える出来事は日常の中に潜んでいるわけです。

“Neighbors”

隣の夫婦が旅行に行くので、留守の間の飼い猫のエサやりを頼まれた夫婦の話。夫婦はこの旅行に出かける余裕のある夫婦にちょっと嫉妬をしています。それぞれが別々に、夜な夜な猫のエサをやる口実で隣家を訪れます。それにしても時間がちょっとかかりすぎのようです。彼らは一体隣人の家で、何をしていたのでしょうか。

“Are You a Doctor?”

間違い電話なのか何なのか。あなたはお医者さまですか?と突然電話をかけてきた謎の女。主人公は切ろうとしながらなかなか受話器を置けず、話を続けてしまいます。

“Will You Please be Quiet, Please?”

表題作。普通の、子供がいて、旦那さんの職業は先生で、家庭もうまくいっている家庭。けれど数年前のパーティーで、奥さんが何やら別の男性とあやしい感じになったことがあり、旦那は口にこそしないがずっと根には持っているらしい。ある時この話を奥さんの方から蒸し返し、引いては本当は何があったのか白状してしまう。
“Will you please be quiet, please?”。考えるためにというよりも、受け入れるためにちょっと黙っててくれないか、という感じがしました。

“What’s in Alaska?”

二組の夫婦。水煙草をお祝いでもらった男性の家にみんなで集まります。主人公の妻の方は、アラスカで仕事が決まりそうです。4人は水煙草をやり、スナックを食べ、クリームソーダを飲み、たわいもない会話をする。このカーヴァーの描くグダグダな会話というか雰囲気に、どうしてこうも魅了されるのか。それにしてもまったく、アラスカというのがいいね。タイトルはアラスカと聞くと100%の人が返すセリフではないでしょうか。

“They’re Not Your Husband”

こちらも舞台はアメリカのダイナー。コーヒーやちょっとした食事が出来て、24時間営業だったり、夜遅くまで開いているレストラン。ここで主人公の奥さんは子供が寝る夜の時間帯にパートをしているようです。ある時店に顔を出した主人公。隣の席の客が、給仕にきた奥さんの体を見て、お尻の大きさや太さを話題にしているのをきいてしまう。そしてダイエットをさせようとするのですが・・。タイトルは旦那さんのセリフなんですが、奥さんこそ、“They’re not my husband"ですよね。

他にも好きな作品がたくさんあります。20話くらいあってお得だし、短く単純な単語が使われてスラスラ読めるけど濃密って感じでいいです。

英語もとても読みやすいです。全ての本に共通して、カーヴァーの本は下手なYA本よりも平易な英語が使われています。



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*国内外問わず、夫の仕事の関係で引越しばかりしている40代の主婦(子供なし)です。最近は海外ばかりでいい加減日本に帰りたいです。
*すぐ引っ越すので知り合いが出来にくい/単独行動/インドア派、と引きこもり要素たっぷりではありすが、前向きに楽しみを見つけながら暮らしていければと思っています。
*読書や映画の感想を時々書いてます。

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