過ぎ去りしdays

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186冊目"The Snow Child" 昔話と子なし老夫婦

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Title: The Snow Child
Author: Eowyn Ivey
Publisher: Reagan Arthur / Back Bay Books
Publication date: November 6, 2012
ISBN-13: 978-0316175661
Format: Paperback
pages: 416 pages

昔話の定番と言えば、宝物や鬼や魔女よりも、子供のいないおじいさんとおばあさんではないでしょうか。

昔昔あるところに子供のいないおじいさんとおばあさんが、、ってね。子供のいない寂しい老夫婦の元に、子供か動物がやってきて、幸せを運んでくれる。まあ老夫婦といっても、昔は人生50年くらいでしょうから、今の40歳くらいかもしれませんね。あれ、ワタシ?

“We never know what is going to happen, do we? Life is always throwing us this way and that. That’s where the adventure is. Not knowing where you’ll end up or how you’ll fare. It’s all a mystery, and when we say any different, we’re just lying to ourselves. Tell me, when have you felt most alive?”

こちらの小説の舞台は1920年代。主人公Mabelと夫Jackは、子供のいない中年夫婦です。まだ開拓中のアラスカへ、新天地を求めて移住してきました。

気候ももちろんですが、生活はとても厳しいものです。山の中でほぼ自給自足ですし、お金もなかなか稼げません。Mabelは大学教授の親を持つ都会育ちの女性なので、この開拓暮らしはとても大変そうです。そして冬の厳しさと孤立した毎日で精神的にも弱っている感じなのです。実はMabelは一度子供を死産させていて、その傷も癒えていないのね。

そんなある年。最初の雪が積もったある晩。Mabelは珍しくはしゃいで夫Jackと一緒に雪だるまの女の子をこしらえます。そしてその後で、本物の少女が目の前に現れます。Fainaという美しい名前の少女です。

現実なのか妄想なのか願望なのか。読者も戸惑いますが、だんだん事情が分ってきます。でもFainaの行動は最後までミステリアスですし、Mabelの心情と合わせて読み進めてしまう本です。

Fainaは捕らえ所のない少女なんだけど、彼女の出現を通して、MabelとJackが昔のように寄り添い始めるのが素敵。もともと深い情熱で結ばれた夫婦なのだし、アラスカの寒さで凍りかけていたのかも。近所の子沢山家庭の奥さんもすごくいい人だし、出てくる人達はみんな湯たんぽのように暖かい。

ところで子供のいない老夫婦が作った雪だるまが子供になるというお話は、ロシアの民話にあるそうです。雪だるまって溶けちゃうからそもそも哀愁たっぷりですけど、そこから生まれる子供って。もうね。その民話も寂しい物語のようです。

こちらの小説のラストも民話同様に悲しいのですが、同時に美しく、切なく、心を捕らえて離さない。やっぱりこの流れだなあと思う。明るいハッピーエンディングは似合わないというか、雰囲気違うし。

ネイティブアラスカンである作者の描写が信頼出来るので想像力をかきたててくれます。移住とか孤立とか子なしとか、何気に共通点の多い主人公だけに、感情移入しやすくて読みやすかったかな。後半はちょっとペースダウンしてしまいましたが、特に最初の2/3はスイスイと進んだ。明るいお話ではありませんが、昔話は少々ダークなものと相場が決まっておりますし。よいですよ。

ちなみに一昨日から戻って来ていますが、また来週移動です。面倒くさいよー。


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