夫婦2人家族、引っ越し妻。いいかげん日本に戻りたい主婦の日記〜散歩/本/コーヒー(おやつ)他。

188冊目"Ghosts" ブルックリンの幻

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Title: Ghosts (The New York Trilogy, Volume 2)
Author: Paul Auster
Publisher: Faber & Faber
Publication date: 1987
ISBN-10: 0571149251
Format: Hardcover

オースターの、"The New York Trilogy"の2作目にあたる小説です。先日Auggie Wren's Christmas Storyの感想でもちらっと触れましたが、映画"Smoke"でしんみり語られる挿話の一つは、こちらの"Ghosts"からのものですね。

First of all there is Blue. Later there is White, and then there is Black, and before the beginning there is Brown. Brown broke him in, Brown taught him the ropes, and when Brown grew old, Blue took over. That is how it begins.
The place is New York, the time is the present, and neither one will ever change.Blue goes to his office every day and sits at his desk, waiting for something to happen. For a long time nothing does, and then a man named White walks through the door, and that is how it begins. -Ghosts



舞台は現代、ブルックリン。私立探偵のBlueは、ある日Whiteと名乗る変装した男から、Blackという男を監視するよう依頼を受けます。WhiteはBlackの家が見張れるアパートも手配済みで、Blueはそこに居を構え、一日中毎日毎日ブラックを見張り続けます。BlueはBlackの行動を全て記し、そのレポートを週1でWhiteに送ることになっています。といってもBlackは部屋で書き物をしているか本を読んでいる作家らしく、近所に買い物に行くくらいで目立った行動がほとんどない。決まりきった最低限の動きしかない人間を延々と見張り続ける日々。監視している側の自分方が閉塞感に苦しみ始める。だんだんと精神的に追いつめられていくBlueですが、そのうちそもそも自分が雇われた意味を疑い始めます。そして少しずつBlackに近づいていくのですが・・

現実と物語の違いって何でしょう。
わたしたちは、私という個性を持った人間がいて、その私を中心にして数々のストーリが生まれて、そして私の世界が出来上がる、と思っているし、また思いたい。でも実際は逆なんじゃないかという疑問も付き纏う。まず世界があって、その世界が求めるストーリーがあって、役が出来て、その役を演じるために私たちは存在しているのかもしれない。「この世は舞台、人はみな役者」ってやつですね。

物語というのは、登場人物たちはみな作者の作る世界に閉じ込められ、その物語を完成させるために役割と行動と思想を与えられます。もちろんキャラがしっかりしていると、作者は好んで「キャラクターが勝手に動き始める」とも言いますけど、でも実際キャラクターが本当に勝手に動き始めたら収集がつかないと思うんですよ。少なくとも作者が筆を置くまでは登場人物たちの運命は作者のものです。

登場人物たちが本当に個性を持って動き始めるとしたら、それは物語の終わった後、作者が見ていない場所、言葉では描かれない世界でです。役者は舞台にいる以上、どんな行動をとってもそれは役であり演技でしかないのです。本当の物語があるとすれば、それは物語が終わった後に生まれるのです。

現実も似たようなものかもしれません。私たちは用意された世界で、用意された役を演じているだけなのかもしれない。私たちもまたゴーストなのかもしれません。私たちの本当の物語は、つまり私たちの本当の人生は、私たちを作った作者の目の届かない場所に行かないと生まれないのかもしれない。でも私たちの作者って誰でしょうね。親でしょうか、社会でしょうか、宿命でしょうか、それとも神なのでしょうか。

あんまり感想文っぽくないんですけど、何を書いてもネタバレに繋がりそうなのでこんな曖昧なものになってしまいました。

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*国内外問わず、夫の仕事の関係で引越しばかりしている40代の主婦(子供なし)です。最近は海外ばかりでいい加減日本に帰りたいです。
*すぐ引っ越すので知り合いが出来にくい/単独行動/インドア派、と引きこもり要素たっぷりではありすが、前向きに楽しみを見つけながら暮らしていければと思っています。
*読書や映画の感想を時々書いてます。

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