過ぎ去りしdays

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ゴヤ展

10月半ばからボストン美術館ではゴヤ展が開催されています。
(来年の1月まで:October 12, 2014 – January 19, 2015)
スペインのこの有名過ぎる画家(1746-1828)の作品を160点以上集めており(そのうち10点は北米での公開が始めてのものです)見応えたっぷりです。ゴヤの展示としてはアメリカでは過去25年で最大のものだそうですよ。
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私もとても楽しみにしていて、オープニングの週に早速行ってきました。週の中日の朝イチで乗り込んだ特別展示場はまだガラガラで、ゆっくりと鑑賞出来ました。
ゴヤですから、ダークな絵を期待して行ったのですが、今回ペインティングではダーク系は少ないです。肖像画が多いです。すぐ忘れてしまうけど、ゴヤって宮廷画家だったんですよね。

ゴヤの代表作の一つである有名はカルロス4世のこちらの絵は、残念ながらございません。でも下絵の一部は見ることが出来ます。
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この絵、実質的に権力を握っていた意地悪な王妃を、そのまま意地悪な顔つきを強調して中央に据えています。王も周りの人達も、影が薄い存在だということをはっきり伝えていますね。しかもこれで王族のみなさんに問題なく受け入れられたわけですから凄いですよね。

下積み、タペストリー画家を経て、40歳くらいまでは苦労したゴヤですが、その後は王様御用達の画家となり80代まで長生きされます。当時の画家としては名誉や金銭的な面では大成功でしょうね。その上で後世まで名が残るわけですから大したものです。

一方で聴力を失われたり、戦争を体験したり。ゴヤは魔術的な絵や、老人、狂気や恥、老いや死など、ダークな色合いが濃くなっていきます。
ダークな絵で有名どころでは、こちらの魔術系の絵2点と、老婆の絵が鑑賞できます。
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生存中はあまり発表しなかったという、戦争のデッサンが膨大です。一流画家って何がすごいって、やっぱりデッサン量とか下絵の数が半端じゃないんですよね。発表しようがしまいが関係なく、描いて描いて描きまくっている。描いた数だけ一流になれるのかと思うくらい。ゴヤはそれこそ記録係のように、戦いや殺人の様々な場面を現代のカメラマンがシャッターを切るように描き続けます。

そして晩年の傑作を言われる2点、巨人と、聖職者ヨセフの最後の聖餐も見ることが出来ます。巨人はもちろん本物のデッサンの方です。
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Joseph Calasanzの最後の聖餐。
これが想像以上に大きく、重みがありよかった。
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このモデルとなったのはJoseph Calasanzは、16〜17世紀のローマカソリックの聖職者です。幼い頃から神父を目指し法律や哲学を学び続け、貧しい子供、全ての子供が教育を受けられる世界を目指した。晩年はスクールで起きた子供への性的スキャンダルに巻き込まれとても苦労したが(問題を起こした神父は金持ちで権力者の息子)、最後まで信仰を失わず、平均寿命が30歳とも40歳とも言われる時代に、90歳まで長生きし、最期はたくさんの子供達と親族に惜しまれながら亡くなったそうです。

ゴヤが仕事として描いてきた肖像画とは違い、そこに豪華さも派手さも気取ったポーズもなく、聖職者の絵なのに宗教色も薄く、ただただ神とともに生き続けた男の姿がシンプルに描かれている。

老いを畏れ、戦争を記録し、権力と金を握った人々の虚栄のための肖像画を描き、ダークな世界に魅入られた画家が最後に選んだ題材は、老いではなく成熟であり、戦争ではなく静寂で、虚栄ではなく尊敬に溢れた、光の差し込む世界でした。公の絵としてはこれを最後に、ゴヤは82年の芸術家の生涯に幕を下ろします。

ところで2006年の作品で、"Goya's Ghosts"(邦題は「宮廷画家ゴヤは見た」)という映画があります。
ナタリーポートマンがありえないほど悲惨な役で登場しますが、この時代と、時代の証人としての画家ゴヤが上手く描かれています。
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