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クリスマスにクリスマスキャロルを読む理由

2014年12月12日

ディケンズのクリスマスキャロル。
この時期になると何らかの形でこの名作に触れる人は多いのではないでしょうか。

私も毎年読みます。
(てか今年はオーディオで聴いた。カット無し完全版 $2.95)。
クリスマスキャロルは英語が難しいので、馴染めない人は先に一度でいいから日本語のものを読むといいと思う。

クリスマスに、守銭奴で性格の歪んだ老人スクルージが、3人の精霊の訪問によって、一夜にして人生観も人柄も変わって善人になるというね。キリストの聖夜に、罪と救済と再生を象徴する心温まる良い話ではあるけれど、私が毎年この本を読んでしまう理由はもっと単純に二つあります。

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第一の理由:とにかくストーリーが超絶に面白い

クリスマス。
薄暗く寂しい館。
孤独な老人。
深夜1時の鐘の音とともに、次々と現れるゴースト達。

3人のクリスマスの精霊の名は「過去」と「現在」と「未来」。この設定ゾクゾクしますよね。何度読んでも、ストーリーを知ってても「また読みたい!」って気になります。

3人の精霊それぞれが、スクルージが直視出来ずに避けていたものを見るよう強制します。「過去のゴースト」は、寄宿学校での一人寂しいクリスマスや、最愛の妹が迎えに来てくれたクリスマスを。心を砕かれた恋人との別れだけでなく、スクルージが恋人と築けたであろう家庭や子供まで見せつける。「現在のゴースト」は、労働者たちや甥っ子や忠実な従業員の暖かいクリスマスの風景を。「未来のゴースト」はそう遠くない日にやってくる最後の日を。

精霊達はスクルージが封印していたもの、見ない、考えないようにしていたことを情け容赦なく目の前に叩き付けます。直視できず封印された過去の傷こそがスクルージの問題です。

スクルージが守銭奴なのは、これ以上失わないためです。ケチで心を閉ざしているのは、これ以上傷つかないためです。過去の自分を認めることは、自分の弱さを認めることで、自分を許すこと。

忘れてはならないのは、この物語はフロイトが精神分析という治療法を見つけて開業を始める40年以上も前に書かれたということです。

carol0.png

第二の理由:クリスマスの描写がたまらない

面白い事に、スクルージは最初の過去のゴーストの段階でほとんど改心しています。それを最後に現れる未来(死)のゴーストが決定付けるのです。

二番目に現れる「現在のゴースト」は、スクルージの再生に関して言えば、あまり存在意義がないようにも思えます。

ところがです。
この「現在のゴースト」の章こそ、ディケンズの腕の見せ所というか、素晴らしいシーン満載。

イギリスの、庶民の、労働者の、慎ましやかでも精一杯クリスマスを祝う姿が描かれています。貧しくても健気に生きる労働者階級を描かせれば、ディケンズの右に出るものはいません。ディケンズ自身が経済的に苦労した家庭で育ち、子供の頃から働き続け、厳しい社会の底辺で生きてきたからです。

特にスクルージの従業員である貧しいボブ一家の心の美しさ。ディケンズもこの辺り心得たもの。天使のようなティムに、読者全員が心をつかまれるでしょう。

生産性を追求して、労働者を人道的に扱わないスクルージは、利益至上主義経済の国の価値観そのものであり権化であり、現代の私たちの問題でもあります。また人を偉そうにジャッジする愚かさ、よくよく考えもしないで吐く正論の愚かさなどにも気付かされ、マジメに反省させられる。

プディング、ミンスパイ、プラム、レーズン、ターキー、アーモンドと色鮮やかに美味しそうなクリスマスのごちそうが目に浮かび、人々の笑い声やおしゃべりが聞こえる。街灯のきらめき、クリスマスショッピングで忙しい路地、白い息、教会の鐘の音、活気ある風景が見えてくる。

なにもかもクリスマスのために特別に飾られ、誰もが楽しそうで、みんなの思いがクリスマスを特別なものにしていることが伝わってくる。

クリスマスキャロルを読むと、クリスマスは特別な日なんだと改めて感じることが出来る。そして私もクリスマスを感謝して楽しんで、静かに内省もしようと思う。

というのも私は普段かなりスクルージなので、特に身につまされるだけなんですけどね。

メリークリスマス!

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