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204冊目 The Bluest Eye 青い瞳のわたし

2015年01月10日

It is a good time to finish up old tasks. お正月明けということで、「読もう読もうと思いつつ読まない本」を今年一番に持ってきました。
トニ・モリスンのデビュー作 "The Bluest Eye"です。

bluesteye.jpg

Title: The Bluest Eye
Author: Toni Morrison
Publisher: Holt, Rinehart and Winston
Publication date: 1970
ISBN-13: 978-0-375-41155-7
Format: Hardcover
Pages: 224 pages

It had occurred to Pecola some time ago that if her eyes, those eyes that held the pictures, and knew the sights—if those eyes of hers were different, that is to say, beautiful, she herself would be different.


長文を書く方ではないのですが、英語も一筋縄ではないから難しいですし、目に見えない複雑な心理描写が多く、躊躇してしまう作家の一人です。洞察力が鋭く、深く、冷静で重い。またちょっとした人間心理や行動を見逃さないから、心当たりで居心地も悪くなる。

Pecolaという黒人の少女がいます。Pecolaは醜く、おどおどしていて、受け身で、スローです。Pecolaは青い目を欲しがります。誰よりも青い目です。そしてある夏、父親 Chollyによって妊娠させられ、流産します。なぜPecolaは青い目を欲しがったのでしょうか。けれど作者はこう綴ります。

There is really nothing more to say-except why. But since why is difficult to handle, one must take refuge in how.


そう、HOWです。物語は悲劇ですが、そこにはわかりやすいモンスターはいません。トニモリスンはドラマ仕立てにはせず、憐憫もなく、怒りもなく、ただ淡々とAからBへ、BからCへと進む道のりを書いていきます。
デビュー作ということもあり、黒人の問題を説明調に語る部分も多い。今の彼女(権威ある賞を何度も取り、認められた作家)なら省くであろう、読者に判断を任せる場面であっても。このおかげでわかりやすい分、誤解も生み、以前は発禁になったり、問題視されたことが何度かあるそうです。

1970年出版の本です。美しさや価値あるものが、白人にだけ属する時代。でも自分のオリジナルの肌や目の色よりも、青い眼や白い肌が美しいと思わせる風潮は今でもあるし、日本でも青い目にするカラコンが流行ったり、意地でも日焼せずに白さにこだわる女性はいます。このような美の価値基準がどこから生まれ、どのように浸透し、若い少女たちの中で絶対的なものになっていくのか。

私の知人の一人は(読んでて不快に思う方もいるかもしれませんが、ジャッジではないのでよろしく)、「青い目の子供が欲しい」と言って、本当にそれだけの理由で金髪青い眼の白人と結婚しちゃったんですね。で、最初の子供は旦那さん譲りのブルーの瞳と金髪だったんですよ。友人はとても喜んでいました。でも二番目の子供が、彼女譲り(というか日本人の遺伝で)の黒髪とダークな瞳だったんですね。その時の彼女の台詞が、「あーあ、がっかり。金髪も青い目も、どちらも出ないなんて」みたいな台詞でびっくりしたんだけど、まあ半分冗談でもあったのでしょう。それにしても彼女の価値観はどこから来たのかって話なのですが、これがやっぱりPecolaとちょっと似てるのね。知人もアメリカの古いテレビドラマの昔の女優さんの大ファンで、でも魅了されたのはたぶん主人公の女性だけじゃなく、大きな家、広いキッチン、食料がびっしり詰まった冷蔵庫やキャビネット、家電、庭のプール、そういうこと全てだと思うのです。青い瞳はやっぱり象徴なわけですよ。幸い彼女は綺麗なお母さんもいたし、彼女自身も可愛い可愛いと育てられたので、憧れはあっても、自分の容姿を卑下することはありませんでしたが。でもPecolaの状況では、自分に自信を持てといってもそれは不可能なわけです。どうしようもないの。そのうんざりするようなどうしようもなさを、モリスンは淡々と綴っていくわけだから、読んでるとどんどん逃げ道を塞がれるような圧迫感を覚えるというか。

夫婦喧嘩の描写なども冷静でいて力強い。Breedlove夫人の旦那への怒りと、その持って行きどころの描写も見事です。国籍を問わず「ダメ夫を支える妻」は、存在意義の持ちどころを間違えると、神に救済ではなく審判(罰や復讐)を求めるようになってしまい、そして旦那が落ちるまで落ち、情けなくダメで荒くれ者になるほど自分の価値が高まるという罠に陥る。

Mrs Breedlove considered herself an upright and Christian woman, burdened with a no-count man, whom god wanted her to punish. (Cholly was beyond redemption, of course, and redemption was hardly the point – Mrs Breedlove was not interested in Christ the Redeemer, but rather Christ the Judge.) Often she could be heard discoursing with Jesus about Cholly, pleading with Him to help her “strike the bastard down from his pea-knuckle of pride.” And once when a drunken gesture catapulted Cholly into the red-hot stove, she screamed, “Get him, Jesus! Get him!” If Cholly had stopped drinking, she would never have forgiven Jesus. She needed Cholly’s sins desperately. The lower he sank, the wilder and more irresponsible he became, the more splendid she and her task became. In the name of Jesus..


またPecolaの悲劇は、愛することではなく、愛されることだけを求めた結果でもあるわけだけど、「女は愛するより愛される方が幸せ」みたいなプリンセスな台詞は、モリスンなら鼻で笑うでしょうねえ。

Love is never any better than the lover. Wicked people love wickedly, violent people love violently, weak people love weakly, stupid people love stupidly, but the love of a free man is never safe. There is no gift for the beloved. The lover alone possesses his gift of love. The loved one is shorn, neutralized, frozen in the glare of the lover's inward eye..


"Beloved" や"Paradise"も読んでみたいけど、ちょっと時間が必要な気がする・・・

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